★ おいしいよ〜。おいしいよ〜。隠し味があるからね〜。
  〜 知ってる人は知っている! 鮎鮨(あゆずし)の話!!

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アユ(鮎・年魚・香魚)
1.アヂー! 
2.オエー! 
3.グワー! 

 秋、アユは川の中流域の岩場で生まれる。
 稚魚は群れて川を下り、海へ向かう。

 冬、アユは海で暮らす。
 主に動物プランクトンを食べる。

 春、アユは群れて川を上る。
 生まれた川を上るのである。

 夏にかけて、アユは上流で縄張りを作り、高級食材(岩に付いた藻)を食べる。
 部外者が縄張りを侵すと、激しく怒って追い払う。この習性を利用したのが「友釣り」である。

 縄張りを作れない弱者は、群れて動き回るか、淵でいじけて仕方なく下級食材(虫)も食べる。

 秋、アユは群れて川を下る。
 中流域でメス一尾にオス十数尾が押し寄せて結婚し、事が終わると死んでしまう。
 寿命は一年なので「年魚」なのだが、なかにはしぶとく生き続けるものもいる。

 また、海に下らず、ずっと淡水で暮らすアユもいる。
 これは余り大きくならないので「コアユ」という。
 琵琶湖
(滋賀県)や池田湖(鹿児島県)のものが有名である。

 アユは東アジア全域に分布する。
 日本では、北海道南部以南にたむろしている。
 夏が美味で、旬は土用過ぎ二十日ほど
(七月下旬〜八月初旬)といわれている。
 食べ方は塩焼きが最高とされるが、酢味噌和え・てんぷら・酢の物・煮びたし・飴煮
(あめに)・雑炊・魚田(子持ちアユ)・うるか(はらわた)などなど、さまざまな調理法があり、頭から尾まで骨からはらわたまで残さず食べられる。

 漁法も色々で、釣り(友釣り・どぶ釣り)・網(投網・刺網など)・梁(やな)・鵜飼(うかい)などがある。
 鵜飼は長良川
(岐阜県)のものが有名である。

 アユの漢字は「年魚」のほかに「香魚」「鮎」もある。
「香魚」は、香りがいいからである。
 中国では「鮎」はナマズを指すので、この字が一般的である。
 つまり、有名な『瓢鮎図』の「鮎」とは、ナマズのことである。

「鮎」は、古くから占いに使われていたからである。
 特に神武天皇
(じんむてんのう)や神功皇后(じんぐうこうごう)によるアユ占いは有名である(「2004年12月号 紙幣味」参照)

 アユは太古から日本人に食われ続けてきたため、『古事記』『日本書紀』『万葉集』以下、多くの文献に登場してきた。
 当然、アユに関する歌も多いので、以下に何首か御紹介。

  隼人(はやひと)の瀬戸の巌(いわお)も鮎走る吉野の滝になほしかずけり

大伴旅人     

  しら縄に小鮎引かれて下る瀬にもち設けたる米の敷網

西 行     

  鮎くれてよらで過行夜半の門

与謝蕪村     

  時鳥一尺の鮎串にあり

正岡子規     

 さて、今回は平安時代後期の説話集『今昔物語集』から、おいしいおいしい鮎鮨(あゆずし)の話を御紹介したい。
 こう言うと、何かいやな予感がする方がおられるかもしれない。
「『今昔物語集』の鮎鮨の話って、ま、まさか……!?」
 フッフッフ。その通りですので、知ってる方も知らない方も、どうかお食事中には御覧ならないでください。

[2006年6月末日執筆]
参考文献はコチラ

「鮎鮨」登場人物

【 お れ 】京都の住人。

【 妻 】「おれ」の妻。

【 馬 】「おれ」の馬。

【 男 】何も知らない男。

【 女 】行商の女。

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