2.【解答】

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1.【問題】
2.【解答】

 問題が解けない俺と源義経様は、他の逃避行仲間にも聞いてみた。
 他の逃避行仲間とは、義経様の北の方・蕨御前
(わらびごぜん。平蕨姫)や、家来の片岡弘経(かたおかひろつね。為春)らだ。
「六人足す六人は十二人だってよ。残りの三人はどこに行っちまったんだ?」
「死んじゃったんじゃないの〜?」
「里子に出したとか」
「こういう場合、たいてい神隠しなのよ」
「それとも、答えなんてないんじゃねえ?」
「そうよ。旅人を困らせて楽しむのが趣味な女将なのよ」
 結局答えが出ず、あれこれ考えているうちに朝になった。

 朝食時、宿の主人と女将が子どもたちを勢ぞろいさせて自己紹介させた。
「長男の一丸
(ひいまる)です」
「長女の二子
(ふうこ)です」
「次女の三子
(みいこ)です」
「次男の四郎丸
(しろうまる)です」
「三男の五郎丸
(ごろうまる)です」
「四男の六郎丸
(ろくろうまる)です」
「五男の七郎
(しちろう)です」
「六男の八郎
(はちろう)です」
「シチナンのクロウでーす」

 女将が俺たちに聞いた。
「このとおり、主人の子が六人。私の子が六人。合わせて九人です。理由はもうお分かりですよね?」
 それでも俺達は分からなかった。
「降参です。答えを教えて下さい」
 女将はニヤッとして、主人に目で合図した。
 主人は子どもたちに声をかけた。
「わしの子六人、わしのそばにおいで!」
 すると、九人のうち六人が主人のそばに集まった。
「このとおり、わしの子はこの六人です」
 今度は女将が子どもたちに声をかけた。
「私の子六人、私のそばにおいで!」
 すると、九人のうち六人が女将のそばに集まった。
「このとおり、私の子は六人です」
「?」
 俺はそれでもキツネにつままれたような顔をしていたが、義経様ははたと手を打った。
「なるほど!三人重複しているわけだ!」
 女将はうなずいて説明した。
「そうです。九人のうち三人は主人の連れ子です。三人は私の連れ子です。残りの三人が主人と私の子というわけです。みなさん、わかりましたね?」
「はーい」
「ベンジョさんもわかりましたね?ウプピッ!」
 俺はすっかり忘れていた。
 思い出さなくてもいいことを思い出させられた。
 俺のたった二日の黒歴史だ。

[2015年10月末日執筆]
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