2.首領になった男

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トランプ大統領は暴君か?
1.仁義なき戦い
2.首領になった男
3.GEDO/外道
4.荒ぶる魂たち
5.最後の晩餐

 四代将軍足利義持没後に六代将軍(五代義量は義持より先に没)になったのは、弟たちの中からクジで選ばれた足利義教であった(「足利氏系図」参照)
 その義教が初めて赤松満祐を見た感想は、
「ちっさ!」
 で、あったであろう。
「そういえば、なんじの父
(赤松義則)は背が低すぎて『三尺入道』と呼ばれていたそうだな。誰か、ものさし持って来い」
 義教満祐を近くに招くと、ものさしで身長を測ってみた。
「一尺、二尺、三尺……。ププッ!なんじも三尺じゃねーか!小さっ!」
「もう少しありますけど」
「口答えするな、三尺入道」
 諸将はどっと笑った。
 満祐は言い返した。
「戦場において背が低いことは不利ではありません。刀も矢も当たりにくいですし、身軽で馬も疲れません」
「道理である!」
 義教は同じたが、おもしろくはなさそうであった。

 義教には、赤松貞村(さだむら)というお気に入りのオトコがいた。
「ねえ」
「何だい?」
「ちょうだい〜ちょうだい〜」
「何を?」
「土地〜土地〜」
「どこの?」
「アイツの土地〜」
「アイツか」
「そう、アイツの〜」
「アイツは醜い」
「そしてチビ」
「おまえはかわいい」
「はずかしいです〜」
「決定!アイツの土地はおまえの土地!」 
「やったー!」
 何やらいつか来た道である。
 実はこの貞村、あの義持のオトコ・赤松持貞のおいであった。

 満祐は舌打ちした。
(チッ!将軍家は二代続けて男狂いかよ。しかも両方うちの分家のオッサンと)
 義教は見逃さなかった。
「どうした?何か余に不満でもあるのか?」
「別に」
 義教はそれ以上は責めなかった。
 しかし、いつか満祐の所領を取り上げてやろうと考えていた。
 好きなオトコに貢ぐために――。

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