4.屁は身を助ける

ホーム>バックナンバー2019>令和元年10月号(通算216号)電気味 平賀源内『放屁論』4.屁は身を助ける

何もできねえ千葉大停電
1.屁
2.両国の屁っびり芸人
3.屁論争
4.屁は身を助ける

 中国では「放屁」という。
 上方では「屁をこく」という。
 関東では「屁をひる」という。
 女性たちは「おなら」という。
 いろんな言い方があるが、鳴るのと臭いのは変わらない。

 屁の音には三等あるという。
 プッと鳴るのは上品で、形が円い。
 ブーッと鳴るのは中品で、楕円形
(だえんけい)をしている。
 スーッとすかすのは下品で、細くて平たい。

 これらはみな素人でもできる屁。
 かの屁っぴり芸人のごとく奇々妙々に至っては、ひらざる音なく備わらざる形なし。
 そもそもなぜ彼のような芸人が生まれたかといえば、彼の母がイモ好きだったから。
 ある晩、彼の母は火吹き竹をのんだ夢を見て懐妊。
 鳳屁元年へのえイタチの歳、今を春辺の梅のにおう頃に誕生。
 成人になるにつれ、だんだん功を屁ひり男、今江戸中の大評判。
 屁は身を助けるとはこのこと。

 以上、風来山人(ふうらいさんじん。平賀源内)が書いてみました。

 

[2019年9月末日執筆]
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