★「土用丑の日ウナギの日」を広めた元祖コピーライター! 〜 日本最奇の天才発明家・平賀源内の遊びゴコロ!!! |
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ウナギ(鰻)は妙である。
魚なので手足がないのは当然だが、目立ったヒレもない。横にちっちゃいのが申し訳なさげに付いているだけである。しっぽに薄いのがこびりついているだけである。それも、どこまでが体で、どこからがしっぽなのかはっきりしない。
ウナギは長い。
変にクネクネしている。やけにヌルヌルしている。気持ち悪いが、顔は愛敬がある。特に、正面から見た顔がおもしろい。
ウナギは淡水魚である。
日本では、北海道以南の内湾や、河川や湖沼で暮らしている。
けれども、のんのんと定住しているわけではない。真水の暮らしに満ち足りているわけではない。
夏から秋にかけて、大人のウナギは旅に出る。生殖のため、海へと向かうのである。どこへ行くのかよく分からないらしいが、遠く遠く泳ぎ、深く深く潜って事を成すらしいのである。疑わしい場所として、フィリピン海溝が挙げられている(台湾東方の深海ともいう)。
幼生ウナギは、レプトセファルスという。
少し大きくなると、シラスウナギと呼ばれるようになる。彼らは黒潮に乗り、翌年までに日本近海へと舞い戻ってくる。そして、二月から五月にかけて川を上り、何食わぬ顔をして淡水魚と化すのである。
日本人は古くからウナギを食していた。
現存最古の和歌集『万葉集』にも、ウナギは登場する。
かの大伴家持がやせすぎ男にウナギを勧める歌がある。
石麻呂(いしまろ)に我もの申す夏痩(や)せによしといふものぞ鰻(むなぎ=うなぎ)捕り喫(め)せ
痩す痩すも生けらばあらむをはたやはた鰻を捕ると川に流るな
ウナギを勧めるというより、石麻呂(吉田老)のやせすぎをからかった歌なのだが、どうやら当時よりウナギは非常に栄養価が高く、滋養強壮にいいということも知られていたようだ。
ウナギを食べる日といえば「土用丑の日」が定番である。
実は土用は、一年に四回ある。
立春・立夏・立秋・立冬にいたるそれぞれ十八日間を土用というが、単に土用と言えば、夏の土用を指すのが普通である。その中の丑の日を「土用丑の日」というのである。
ちなみに平成十五年(2003)の「土用丑の日」は、七月二十七日である。今年は一度だけしかないが、干支は十二なので、めぐり合わせによっては二度ある年もあるわけである。
土用丑の日にウナギを食べることを広めたのは、江戸時代の天才発明家・平賀源内だと言われている。
売上不振に悩んでいた馴染(なじ)みのウナギ屋に、源内が前の家持の歌や、当時はやっていた大田南畝の歌からヒントを得て、「土用丑の日ウナギの日」の看板を書き、大々的に宣伝したのが始まりとされている。
ほかに神田のウナギ屋・春木屋善兵衛(はるきやぜんべえ)が広めたという説もあるが、実はそのウナギ屋こそ、源内プロデュースのウナギ屋だったのであろう。
平賀源内は非常におもしろい人物である。
彼の生涯を一回こっきりで紹介するには非常に惜しい人物なので、今回は彼の発明品や復元品の命名法に限定してご紹介したい(「電気味」参照)。
[2003年6月末日執筆]
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参考文献はコチラ
【平賀源内】ひらがげんない。天才発明家。
【客人】