★ 時代錯誤!支離滅裂?宮本武蔵自身もビックリ!! 〜『五輪書』はオリンピックのための書だった!? |
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初めて『五輪書』と聞いたとき、私はオリンピックの入門書かと勘違いしていたものであった。
実際は安土桃山〜江戸時代の剣豪・宮本武蔵(みやもとむさし。「対立味」参照)が記したとされる(高弟がまとめたともいう)兵法入門書なのであるが、読んでみると、オリンピックを目指している人のための本であるといっても過言ではないような気もしてきた。兵法とスポーツとは、通じるものがあるのであろう。
武蔵が死の七日前に記したとされる「独行道」(「下記参照」)に有名な言葉がある。
我れ事において後悔せず。
武道家に限らず、勝負に臨むスポーツ選手が心がけるべきことであろう。はたして今回北京五輪に出陣した選手たちの中で、後悔しなかった人はいったい何人いるであろうか?
競技種目 | 氏 名 | 備考 |
競泳男子100m平泳ぎ | 北島康介 | 史上初の同種目連覇。 |
競泳男子200m平泳ぎ | 北島康介 | 史上初の2冠連覇。 |
レスリング女子55kg級 | 吉田沙保里 | アテネに続く連覇。 |
レスリング女子63kg級 | 伊調 馨 | アテネに続く連覇。 |
柔道女子63kg級 | 谷本歩実 | アテネに続く連覇。 |
柔道女子70kg級 | 上野雅恵 | アテネに続く連覇。 |
柔道男子66kg級 | 内柴正人 | アテネに続く連覇。 |
柔道男子100kg超級 | 石井 彗 | 五輪初出場初制覇。 |
ソフトボール | 上野由岐子ら | 史上初の同競技制覇 |
オリンピックでは、とかくアメのことばかりいわれがちである。
「メダリストの報奨金を上げてやれ!」
「北島康介(きたじまこうすけ)選手に国民栄誉賞を!」
「有力選手のコーチ代は国費で!」
大いに結構なことであるが、アメだけではなく、ムチも必要ではあるまいか?
つまり、活躍選手には「報償」を、敗北選手には「罰則」を与えるべきだということである。
何も、かの国のように「炭鉱送り」にしろといっているわけではない。負けた選手および関係者だけオリンピック開催地への旅費を実費にするとか、一定期間の奉仕活動をさせるとか、それくらいのことはしてもいいのではあるまいか?
「オリンピックは参加することに意味(意義)がある」
私はこの言葉は嫌いである。
スポーツというものは、武道の「生きるか死ぬか」を引き継いだ「勝つか負けるか」という真剣勝負のはずであり、世界一を決める個人対個人の「平和的決闘」のはずであり、国対国の「平和的戦争」であるはずである。そういった世界最高峰のオリンピックに出るからには、勝たなければ意味はない。ただ出るだけで勝つ気のない者に、オリンピックに参加する資格があろうはずはない!
よく、
「メダルだけにこだわるな」
「負けた人でも一生懸命やったんだ」
「かわいそうじゃないか」
と、いう人たちがいる。
そういう人たちは、オリンピックにすら参加できなかった選手のことを何も考えていないのではあるまいか?彼らの中にも出場選手以上に努力し、日々血のにじむような練習を行ってきた選手が大勢いるのである。そういう選手のほうが圧倒的に多いであろう。中には実力がありながら、不運なめぐり合わせや理不尽な判定で振り落とされた選手もいることであろう。家庭の都合や金銭的・身体的その他の諸理由で涙を飲んだ選手もいることであろう。それなのにオリンピックで負けた選手がかわいそう?テレビの画面がすべてではない!テレビに映れたということは、それだけで幸運なことなのである!本当にかわいそうなのは、テレビにすら映れない選手ではないか!だからこそ、運よく出場できた選手は、そういう無念な悔しい思いをした選手のためにも、どうしても勝つべきなのである!彼らの重い思いを無にするような恥ずかしい戦いは絶対にすべきではないのである!出るからには勝てっ!死に物狂いで勝利をつかめっ!そして頂点の、一番輝くメダルを目指せっ!それで負けても、決して決っして後悔するような負け方はするなっ!それが敗れし者たちへの、せめてもの「供養」だと心得よっ!!
すでに新たに戦いは始まっている。
今回、無念の思いをした選手たちのほんの一部が、次回には晴れ舞台に登場してくることになるのである。
というわけで今回は『五輪書』を紹介したい。
当然抜粋であるが、全文を読まれたい方はいくつか活字本や全訳本も出ているので、そちらのほうを読まれたし。おそらく、何か役に立つことが書いてあることと思う。
[2008年8月末日執筆]
参考文献はコチラ
一、世々の道をそむくことなし。
一、身に楽しみをたくまず。
一、よろずに依怙(えこ。ひいき)の心なし。
一、身を浅く思い、世を深く思う。
一、一生の間欲心思わず。
一、我れ事において後悔せず。
一、善悪に他をねたむ心なし。
一、いずれの道にも、別れを悲しまず。
一、自他共にうらみかこつ心なし。
一、恋慕の道思いよる心なし。
一、物ごとに数寄好むことなし
一、私宅において望む心なし。
一、身ひとつに美食を好まず。
一、末々代物(しろもの)なる古き道具ところ持せず。
一、わが身にいたり物いみすることなし。
一、兵具は格別、余の道具たしなまず。
一、道においては、死をいとわず思う。
一、老身に財宝所領持ちゆる心なし。
一、仏神は貴し、仏神を頼まず。
一、身を捨ても名利は捨てず。
一、常に兵法の道を離れず。
※ 諸本によって緑字の二条がないものもあります。