1.地の巻 | ||||||||||||||
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この巻には宮本武蔵の自己紹介と兵法のあらましが記されている。
たとえば、武士がなぜ兵法を行うかは、次のように記されている。
武士の兵法を行う道は、何事においても人に優ぐるるところを本(もと)とし、あるいは一身の切り合いに勝ち、あるいは数人の戦いに勝ち、主君のため、我が身のため、名を上げ身を立てんと思う。これ兵法の徳をもってなり。また世の中に、兵法の道を習いても、実(まこと)の時に役に立つまじきを思う心あるべし。その儀においては、いつにても、役に立つように稽古(けいこ)し、万事にいたり、役に立つようにしゆること、これ兵法の実の道なり。
そうである。
戦うからには勝たなければ意味はない。
役に立たないように聞こえる人の教えも、聞き流すのではなく、自分の中で役に立つように改め、日々練習を怠らないことが大切なのである。
この巻の最後には、兵法を学ぶにあたっての心がけ九か条が記され、次のように締めている。
第一に、よこしまになきこと(正しい道)を思うところ
第二に、道の鍛錬(たんれん)するところ
第三に、諸芸に触るところ
第四に、諸職の道を知ること
第五に、物ごとの損得をわきまゆること
第六に、諸事目利きを仕覚ゆること
第七に、目に見えぬところを悟って知ること
第八に、わずかなることにも気を付くること
第九に、役に立たぬことをせざること
いずれの道においても、人に勝るところを知りて、身を助け、名を助くるところ、これ兵法の道なり。