1.積木くずし

ホーム>バックナンバー2022>令和四年10月号(通算252号)併合味 ハーグ密使事件1.積木くずし

ウクライナ四州併合
1.積木くずし
2.ダークシステム
3.友よ、静かに瞑れ
4.日本の仁義
5.黄金の日日

 明治三十七年(1904)二月二十三日。日韓議定書調印。
日本軍が韓国内で軍事行動できるようにするよ〜」

 明治三十七年(1904)八月二十二日。第一次日韓協約調印。
日本政府が韓国の財政や外交に口出ししてあげるよ〜」

 明治三十八年(1905)十一月十八日。第二次日韓協約調印。
日本政府が韓国の外交を全部してあげるよ〜。内政にも口出すから統監府を置くね〜」

 大韓帝国皇帝・高宗は憤っていた。
「日帝は親切そうな顔をしてじわりじわりと朕
(ちん)の権限を奪い取っていく。このままでは、我が帝国が植民地になるのも時間の問題であろう」
 そして、嘆いた。
「だからといって表立って日帝に反抗することはできない。それをすれば、妃のようになってしまうからだ」
 高宗の妃・閔妃
(びんひ。明成皇后)は、ロシアと結んで反日政策を展開したため、明治二十八年(1895)に駐朝公使・三浦梧楼らによって惨殺されていた(閔妃殺害事件)
 高宗は拳
(こぶし)を握りしめた。
「だがしかし、このまま何もしない訳にはいかぬ! 朕は大韓帝国の皇帝である! この国を守ることができるのは、朕以外にいないのだ! そのためにおまえたち三名に特命を授けることにした。
 三名とは、元議政府参賛・李相ソル
(ソルは咼の上にト)と前平理院検事・李儁と前駐露公使館二等書記官・李ウィ鍾(ウィは王偏に韋)
「何でしょうか?」
「陛下のためなら野を越え山越えたとえ火の中水の中」
「いかなる御用でも命など惜しまずに成し遂げて御覧に入れましょう」
 低頭する三名に高宗は命じた。
「ハーグへ行ってもらう」
「ハーグ?」
「そうだ。第二回ハーグ万国平和会議で日帝の侵略行為を訴えるのだ」
 三名は納得した。
「なるほど。日帝の悪事を世界に喧伝
(けんでん)するんですね?」
「もはや韓国だけではどうにもなりませんからね」
「やりましょう! ハーグで世界を味方につけてきましょう!」

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