1.景行天皇×八坂入姫命

ホーム>バックナンバー2022>令和四年1月号(通算243号)火元味 日本武尊の出雲征討1.景行天皇×八坂入姫命

大阪ビル放火&台湾有事
1.景行天皇×八坂入姫命
2.播磨稲日大郎姫×武内宿祢
3.日本武尊×五百城入彦命

「朝ですよ、起きて〜」
「はい! すぐ起きまーす!」
 八坂入姫命に起こされると、景行天皇は即座に起きるようになっていた。
「早っ!」
「まだ死にたくないからな」
「でも、ついに極悪非道なあいつが帰ってきますよ〜」
「小碓か。まさかクマソの梟帥
(たける)までやっつけちゃうとは想定外だったぜ」
「あいつは自ら、ヤマトの梟帥を名乗ったそうですよ〜」
「ヤツがヤマトの首領なら、ヤマトの大王である朕
(ちん)の立場はどうなる?」
「おわかりにならないのですか? あなたさまにケンカを売っているんですよ」
「バカバカしい! 小碓は朕の息子だぞ! 子が親に勝てるわけがない!」
「そうでしょうか? あいつには勢いがあります。あいつが平定したのはクマソだけではありません。海の神
(北九州か)も山の神(四国か)も海峡の神(関門海峡)も全員やっつけちゃったそうですよ」
「そうだな。イズモはもともと小碓に治めさせていた。つまりヤツは、キビとナニワを除く西国全土を傘下に収めたことになる」
「あいつは凶暴です。キビとナニワも長くありません」
「それはない。キビを任せてある吉備武彦
(きびのたけひこ)もナニワを守らせている大伴武日(おおとものたけひ)も猛将だ。ヤツに負けるわけがない」
「それより心配なのは私の子です。私の子はイズモであいつの留守番しています」
 景行天皇は小碓命にクマソ征討を命じた際、彼の異母弟・五百城入彦命をイズモに遣わして留守を任せていた。
「まずいな。五百城は小碓の許可を取らずにイズモの大社
(出雲大社。島根県出雲市)の神宝を朝廷に差し出してきた。このことを小碓が知ったら怒るに違いない」
 この時の神宝が、出雲大神宮
(いずもだいじんぐう。京都府亀岡市)創立と関係あるのかもしれない。
「五百城とあいつを会わせるのは危険です。あいつが帰ってくる前に、五百城をヤマトに呼び戻してください」
「いや、引き継ぎはしなければならない。その後、すぐに呼び戻そう」

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