1.聖徳太子は救世観世音菩薩の生まれ変わりか? | ||||||||||||||
ホーム>バックナンバー2013>1.聖徳太子は救世観世音菩薩の生まれ変わりか?
|
聖徳太子は救世観世音菩薩(くせかんぜおんぼさつ・くぜかんぜおんぼさつ。救世観音)の生まれ変わりだという。
出典は鎌倉時代初期の歴史物語『水鏡』にある。
その部分を次に要約する。
聖徳太子の母の夢に金色に輝く僧が登場して言った。
「私は世を救わなければならない。そのため、君の腹の中に宿りたい」
「そうおっしゃるあなたはどなたですか?」
「『救世観世音菩薩』です。家は西の方にある」
「私は汚れた女です。どうして許すことができましょう」
「汚れていたとしてもかまわない」
「そんならいいけど」
母の許可を得た僧は、口から腹の中に入った。
八か月後、胎児はものをしゃべるようになった。
なるほど、聖人降誕にふさわしい伝説である。
が、この話の非現実的な部分を現実的なものに変換してみると、そうでもない話になってしまう。
以下が改作したものである。
聖徳太子の母の寝所にイケメン僧が登場して言った。
「私は世を救わなければならない。そのため、君と抱き合いたい」
「そうおっしゃるあなたはどなたですか?」
「『救世観世音菩薩』とでも名乗っておきましょうか。家は西の方にある」
僧は母に覆いかぶさった。
「やめてください!私には夫がいるんです!」
「いたっていいんだー!」
「そんならいいけど」
母の許可を得た僧は、下の口から腹の中に入れた。
八か月後、胎児の気持ちが分かるような気がしてきた。
何のことはない。
聖人伝説でも何でもなく、単なる不倫話になっちまった。
『日本書紀』などには、聖徳太子の父は伝三十一代大王・用明(ようめい)天皇、母は穴穂部間人皇女(あなほべのはしひとひめみこ・おうじょ)とあるが、「襲撃味」では、父は蘇我馬子、母は推古天皇ということにしている(「天皇家系図」参照)。