4.なぜありえないほど聖人化されたのか?

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新ローマ法王フランシスコ
1.聖徳太子は救世観世音菩薩の生まれ変わりか?
2.キリスト張りに馬小屋で誕生したのか?
3.同時に十人と会話できたのか?
4.なぜありえないほど聖人化されたのか?
5.黒駒に乗って空を飛んで富士登山したのか?
6.聖徳太子は大工の祖なのか?
7.聖徳太子は架空人物なのか?

 聖徳太子の聖人伝説は、成長とともに限界を超えてくる。

 敏達天皇六年(577)、百済国王・威徳王が日本へ経典などを贈ってきた。
 それを知った幼児厩戸は、伝三十代大王・敏達天皇にお願いに行った。
「百済から贈られた経典を見せてください」
 敏達天皇は不思議がった。
「何ゆえ経典を見たがるのか?」
「はい。昔、モロコシ
(古代中国)の衡山(こうざん。湖南省衡山県)にいた頃に仏教を勉強しておりました。そのことを懐かしく思いまして」
 敏達天皇は訳が分からなかった。
「む、昔って、汝
(なんじ)はまだ年端もゆかぬ子供ではないか!モロコシの衡山にいたって、いったいいつの話じゃ?」
 すると、厩戸はこう答えたという。
「やだな〜、前世の話でございますよ〜」

 また、敏達天皇十二年(583)には百済の官人・日羅(にちら)が来日した。
 坊や厩戸は彼に会いに行った。
「日羅。久しぶり〜」
 日羅は訳が分からなかった。
「分からないのか、日羅。ほら、余じゃよ。モロコシの衡山に一緒にいたことがあったではないか」
 厩戸は前世の話を事細かく話し始めた。
 思い出した日羅はかしこまった。
「あ、あなた様でしたか……」
 ぴかぴかっ!
 日羅は身体から光を放ちながら厩戸を拝んだ。
「敬来救世観世音
(キョーライクゼカンゼオン)、伝灯東方粟散王(デントートーホーゾクサンオー)!」
「むっ、やるな!」
 厩戸も対抗して眉間
(みけん)から光を放った。
 ビリビリー!
 その光は日羅より強かった。
「負けないぞー!」
 ぴかぴかぴかぴかぴかちゅー!!
「余もだー!」
 ビリビリビリビリビリケンサマー!! 
 すさまじい光線の撃ち合いに、周囲の人々は混乱した。
「な、なんだ?なんだ?」
「何が始まったんだー!?」
「こいつら、バケモノ同士かぁー!?」
 厩戸は人々に説明した。
「昔、余がモロコシにいた頃、常にお日様を拝んでいたところ、このように自在に光を放つことができるようになりました。おそらく余は、来世では天空に生まれることになるでしょう」

 何のこっちゃである。
 ここまで大ぼらが過ぎると、擁護は不可能である。
 聖徳太子をありえないほどの聖人に仕立て上げたのは蘇我馬子に違いない。
 すべては聖徳太子またはその子孫を大王にするためにしたことであろう。


※ 聖徳太子と日羅のビームの撃ち合いは、現実的に考えると、鏡の照らし合いだと思われます。

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