4.STEADY

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一線を越えては今井?
1.Let`s Heat Up!
2.Go! Go! Heaven
3.あしたの空
4.STEADY
5.ALIVE

 長崎思元・為基父子は覚悟を決めると、二手に分かれて新田軍へ突撃していった。
 味方六百騎に対して目の前の敵兵だけでも三千騎はいた。
 為基は愛刀を抜いて拝んだ。
「頼むぞ、『面影(おもかげ)』!」
 刀身に顔がはっきり映ることから命名したものであった。
 山城の刀工・来国行
(らいくにゆき)が百日精進し、鉄百貫を三尺三寸に鍛え上げた硬い太刀であった。
 超ヒゲ面の敵兵が、
「死ねば?お前なんかもう生きてる価値ねーだろ!」
 と、刀を振りかざしてきた。
 チャーン!
 為基は刀を払い飛ばすと、
 ガチャーン!
 兜
(かぶと)の鉢(はち)に「面影」を振り下ろした。
「うーん」
 脳天に衝撃を受けながらも、超ヒゲ面の敵兵は笑い飛ばした。
「バカめ!そのための兜だ!鉢をたたいたところで割れるわけねーだろ!刀が折れたぐらいなもんだ!」
 為基はブンと「面影」をかざして見せた。
「折れてなーい」
「何だと!」
 驚く超ヒゲ面の敵兵の頭で、
 パカ!
 と、妙な音がした。
 超ヒゲ面の敵兵が頭を触ると、
 ボテ!
 ズチャ!
 割れた鉢が両脇に落ちてしまった。
「割れてる〜」
 それだけではなかった。
 ニクジルブシャー!
 頭頂で赤い噴水まで発生していた。
 超ヒゲ面の敵兵は、現実を思い知らされた。
「うえ!頭まで割れてる〜!」

「スキあり!」
 すかさず、そこそこの騎兵が為基にかかってきた。
 が、スキがあったのは、そこそこの騎兵のほうであった。
 バチーン!
 面影でしたたかに「抜き胴」を打たれたのである。
「おう!」
 これも鎧の上からであったが、
 ぱきーん!
 胸板が割れてはじけ飛んでしまった。
「ありえん!何という硬い刀だ……」
 どう!
 そこそこの騎兵は落馬して成仏した。

 敵軍は学習した。
「ヤツは強い。接近戦ではかなわない。遠矢で討ち取れ!」
 サッと退いて矢衾
(やぶすま)を作ると、
 ヒュン!
 ヒュン!
 ヒュン!
 弓で矢を射かけてきた。
 プシ!
 ブシ!
「ヒヒーン!」
 そのうち何本かが為基の乗っていた馬に当たった。
 数えてみると、七本も刺さっていた。
「お前はもういい。十分戦った。どことでも行くがいい」
 為基は馬をなでると、由比ヶ浜の大鳥居前で下馬して馬を放した。
 為基は思案した。
「敵は面影を恐れて近づいて来ない。かといってこちらから打って出ても、馬がなければ名のある武士は相手してくれない。さてさて、どうしたものか」

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