★ 危急存亡!蝦夷蜂起!そんなことやってる場合かー!! 〜 奈良時代末期の「桓降ろし」!氷上川継の変!! |
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かつて民主党は「トロイカ体制」であった。
「善」の鳩山由紀夫(はとやまゆきお)――。
「悪」の小沢一郎(おざわいちろう)――。
「偽善」の菅直人(かんなおと)――。
贅沢(ぜいたく)なトライアングルであった。
国民は三者のうち誰かを支持したくなった。
強力なスクラムを組んだトロイカ体制は、戦後政治を牽引(けんいん)してきた自民党政権を打倒し、奇跡の政権交代を成し遂げたのである(「役人味」参照)。
が、国民の圧倒的支持で成立した鳩山由紀夫連立内閣はもろかった。
鳩山の「善」は、外国には通用しなかった。
アメリカにそっぽを向かれ、中露を図に乗らせる結果になってしまったのである。
小沢の「悪」は、当初から国民に不評であった。
「政治とカネ」問題でたたかれた小沢は、昨年(平成二十二年)、鳩山とともに政権中枢から去っていった。
こうしてトロイカ体制は崩壊し、「偽善」の菅だけが残った。
「偽善」ゆえに、彼は首相になってすぐにたたかれ始めた。
「菅は何をやっているんだ」
「抵抗勢力にもいい顔して、何も進まないじゃないか」
「トロイカ体制は崩壊したんだ。菅も長くはないだろう」
誰もがそう思ったことであろう。
ところが、この「偽善」というのがなかなかのものであった。
「偽善」は善にも悪にも見えるため、一部善悪双方の国民を味方につけることに成功したのである。
「あれ?なんだかいいこと言ってるような〜」
「ふーん。結構、現実的なことを言っているじゃないか」
加えて脅威の粘り腰である。
「オレは犬死はしたくない!」
菅の執念のダダを許してしまう優しい国民も多い。
「もー。やりたいならやれば〜」
「今は仲間割れしている場合ではない」
「どーせ誰に代わったとしても同じことだし」
さらに菅は、
「総理、御退陣を!」
と、迫る部下に対しては「伝家の宝刀」をちらつかせた。
「君たち、これが目に入らないのかな〜?」
「ああっ!それはっ!」
「解散だけは御勘弁を〜!」
菅が意識しているのは、小泉純一郎元首相の「小泉劇場」であろう。
「脱官僚!」
「脱小沢!」
そして今度は、
「脱原発!」
である。
敵を作って戦いを挑むやり方は、かつて「脱郵政」で戦い、「郵政解散」をぶちまかした「小泉劇場」そのものである(「刺客味」参照)。
しかし、「菅劇場」は「小泉劇場」より客の入りが少ない。
「八百長」だと客に見透かされているからであろう。
小泉は自分で答えを出してから「決戦」に挑んだが、菅は「決戦」を避け、国民が出した答えになびこうとしているのである。
では、何が菅を「偽善」に走らせたのか?
あの「未納三兄弟」の失敗(「ヤミ味」参照)から学習したのであろう。
(決戦は危険だ。決戦して敗れれば失脚しかない)
また、「善」の鳩山と「悪」の小沢の失脚からも学習した。
(理想一辺倒も現実一辺倒もダメだ。一番いいのは両方のイイトコ取りだ)
さらに、麻生太郎(あそうたろう)元首相の失敗(「変化味」参照)からも学習している。
(ブレないためには「ぶら下がらない」ことだ)
そうである!
こうして菅が編み出したのが、絶対負けない「偽善」の延命術なのである!
では、なぜ「偽善」は強いのであろうか?
歴史を振り返ってみても、世界を見渡してみても、それは明らかであろう。
現在、世界の覇権を争っている大国は、「偽善国家」だらけである。
彼らはみな一様に自国の「正義」を掲げているが、本当に「正義」の国など一つもない。彼らにとって大切なことは「正義」を行うことではない。「正義」を行っているように見せかけることなのである。
私は「偽善」を支持しているわけではないが、政局や外交でこれを用いることは否定しない。
目的が我欲ではなく、国民のためであればよしと考えるのである。
それにしても、しょせん「偽善」はウソである。
ウソは姑息(こそく)な手段であり、一時的に勝ったとしても、結局はばれて信用を失ってしまうことが多い。
「平城味」&「内乱味」ではないが、
「策というものは、弄(ろう)した者のところに必ず返ってくるもの」
であろう。
「菅降ろし」の裏で、政府は無慈悲な大増税計画を進めている。
「増税は国民のみなさまの社会保障のためですよ〜」
いずれこの「偽善」の正体も、白日の下にさらされる時が来るであろう!
はい。というわけで今回は奈良時代末期の「桓(かん)降ろし」、「氷上川継(ひかみ・ひがみのかわつぐ)の変」を紹介します。
この場合の「桓」とは、伝五十代天皇・桓武天皇のことです。
それでは御覧ください。
[2011年6月末日執筆]
参考文献はコチラ
【氷上川継】ひかみ・ひがみのかわつぐ。塩焼王の子。新田部親王の孫。天武天皇のひ孫。
【不破内親王】ふわないしんのう。川継の母。桓武天皇の元おば。
【藤原法壱】ふじわらのほういつ。川継の妻。浜成の娘。京家。
【藤原浜成】ふじわらのはまなり。参議・大宰帥→大宰員外帥。川継の岳父。法壱の父。京家。
【大伴伯麻呂】おおとものおじまろ。参議・中宮大夫・衛門督。川継の同志。
【中臣伊勢老人】なかとみのいせのおきな。川継の同志。
【大原美気】おおはらのみけ。川継の同志。
【藤原継彦】ふじわらのつぐひこ。川継の同志。浜成の子。京家。
【吉備 泉】きびのいずみ。造東大寺長官。真備の子。
【山上船主】やまのうえのふなぬし。陰陽頭。憶良の子?川継の同志。
【三方王】みかたおう。川継の同志。弓削女王の夫。
【弓削女王】ゆげじょおう。川継の同志。三方王の妻。
【藤原魚名】ふじわらのうおな。左大臣(首班)・大宰帥。永手の弟。鷹取の父。北家。
【大伴家持】おおとものやかもち。参議・左大弁・春宮大夫・陸奥守。
【大和乙人】やまとのおとひと。川継の資人。
【藤原鷹取】ふじわらのたかとり。左京大夫。魚名の子。北家。
【悪人たち】
【衛士たち】
【坂上苅田麻呂】さかのうえのかりたまろ。右衛士督。田村麻呂の父。
【和気清麻呂】わけのきよまろ。桓武天皇の側近。
【藤原種継】ふじわらのたねつぐ。左衛士督。百川のおい。桓武天皇の側近。式家。
【桓武天皇】かんむてんのう。伝50代天皇。光仁天皇の子。