3.加担!堀 秀治!!

ホーム>バックナンバー2009>3.加担!堀秀治(ほりひではる)!!

続・政治家vs官僚
1.放浪!旅の山伏!!
2.拝借!宿の亭主!!
3.加担!堀 秀治!!
4.没収!無銘の刀!!
5.助船!本多正信!!
6.判決!板倉勝重!!

 翌日、亭主は春日山城主・堀秀治の鷹狩のお供をするために出かけていった。
 しばらく野山を駆け回って汗をかいた後、秀治が気がついた。
「亭主。いつもと刀が違うのう」
 亭主が得意げに刀を見せびらかした。
「いいでしょー、これ」
「貸してみよ」
「どーぞ」
 秀治は銘を確かめ、刀を抜いて振り回してみた。
「なるほど。無銘だが、そこそこいい刀だな。商人が持つにはもったいない代物だ。どこで手に入れた?」
「はい。旅の山伏から拝借いたしました」
「なんだ。そちのではないのか?」
「ええ、残念ながら。欲しいんですけどね〜」
「欲しいのなら買えばいいではないか」
「お金を出すのはちょっと……」
 秀治は笑った。
「金持ちのくせにケチなヤツだ」
「ケチですから金持ちなんです〜」
「ハハハ!だったら奪えばいいではないか」
「それはいけません。悪いことはいけません。犯罪者にはなりたくありませんし、それ以前に良心が許しませんっ」
「それは良い心がけだな」
 秀治は、ちょっとおもしろくなさそうであった。
 亭主は声を低くして付け足した。
「が、何か合法的にタダで手に入れる手段があれば別ですが」
 これには秀治、ニヤリとした。
「あるではないか」
 亭主もいやな笑みを浮かべた。
「アレですか?」
「そうよ。アレよ」
「こんな私めのために、アレはいけません。名君と誉れ高きお殿さまとあろうお方が」
「何を申す。アレはその名前からして、名君だからこそ行うことであろう。そちには日ごろから世話になっているからのう。どれ、余が一肌脱いでやるか」
「ありがたき幸せっ!」

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