106.工作味 基礎用語集

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飛鳥(あすか)
 飛鳥時代に主に帝都があった地。現在の奈良県明日香村付近。推古天皇の飛鳥豊浦宮(とゆらのみや)・小墾田宮(おはりだのみや)、舒明(じょめい)天皇の飛鳥岡本宮(おかもとのみや)、皇極(斉明)天皇の飛鳥板蓋宮(いたぶきのみや)、斉明天皇の飛鳥川原宮(かわらのみや)、天武・持統天皇の飛鳥浄御原宮(きよみはらのみや)などがあった。

飛鳥寺(あすかでら)=法興寺(ほうこうじ)→元興寺(がんこうじ)
 奈良県明日香村所在。588-596蘇我馬子が建立した。寺の西の槻の下は、中大兄皇子(天智天皇)と中臣(藤原)鎌足の出会いの場。718平城京に移って元興寺になったが、旧地にも一部建物が残され、本元興寺や安居院(あんごいん)と呼ばれ、鞍作鳥(くらつくりのとり)作の釈迦如来像(飛鳥大仏)が伝来している。

アメリカ(America)≧アメリカ合衆国(United States of America)=米国(べいこく)
 北アメリカ大陸にある国。1492コロンブスが漂着し、十六世紀初めにスペインが、1607年からイギリスが入植、1776イギリスから独立宣言し、1783パリ条約で独立を承認、徐々に西へ領土を広げ、十九世紀半ばに太平洋側に到達、二度の世界大戦と冷戦を経て、世界一の工業国・農業国・軍事大国に成長した。首都はワシントン。

右大臣(うだいじん)
 律令制における執政官。太政大臣・左大臣欠員時の最高官。左大臣とともに国政を統括した。645大化の改新で蘇我石川麻呂(そがのいしかわまろ。倉山田石川麻呂)が任じられたのが最初。

内臣(うちつおみ・ないしん)
 大化の改新で設置された官。中臣鎌足(なかとみのかまたり)が就任。職務不明だが、改新政権での最高顧問的役割。奈良時代の内臣は天皇を補佐する官で藤原房前(ふじわらのふささき)・藤原良継(よしつぐ)・藤原魚名(うおな)の三人が就任している。

大臣(おおおみ)
 大和政権における最高執政者(政務)。臣姓氏族(大王家の支流氏族)の中で最高位。葛城(かずらき)氏・平群(へぐり)氏・巨勢(こせ)氏・蘇我(そが)氏が務めた。

大王(おおきみ)
 ヤマト政権の首長。皇族の代表。七世紀から天皇と呼ばれるようになった。

韓国(かんこく)=大韓民国(だいかんみんこく)←大韓帝国(だいかんていこく)
 (1897-1910,1948-) アジアの朝鮮半島南部にある国。李氏朝鮮王朝二十六代・高宗(こうそう)が国号を大韓帝国と改めるが、1910韓国併合条約によって日本の植民地になり(日韓併合)、1945-1948アメリカの占領を経て、1948大韓民国として独立した。首都はソウル。

百済(くだら・ひゃくさい)
 (前18?-660) 古代朝鮮三国の一つ。四世紀の初めに馬韓(ばかん)五十五国を統一、北の高句麗(こうくり)、東の新羅(しらぎ・しんら)と勢力を三分するが、660唐(とう)・新羅連合軍に攻められて滅亡した。まもなく旧臣たちによって復興運動が起こり、日本も援助するが、663白村江(はくそんこう・はくすきのえ)の戦いで唐・新羅連合軍に敗れて壊滅した。

国博士(くにのはかせ)
 大化の改新で設置された政治顧問。旻(みん)と高向玄理(たかむこのくろまろ・げんり)が任命された。

皇極天皇(こうぎょくてんのう)⇒皇極上皇⇒斉明(さいめい)天皇
 (594-661) 宝(たから)皇女。伝三十五・三十七代天皇(在位642-645,655-661)。茅渟王(ちぬおう)の王女。高向(たかむこ)王の妃。舒明(じょめい)天皇の皇后。夫の没後に即位するが、645乙巳の変で弟・孝徳(こうとく)天皇に譲位、弟没後に再び即位し、新羅征討のため九州に赴いたが、筑紫朝倉宮(あさくらのみや)で没した。

高句麗(こうくり)
 (前47?-668) 古代朝鮮三国の一。現在の北朝鮮および中国東部。朱蒙(しゅもう)が建国。313楽浪郡を滅ぼし、五世紀初めに広開土王(こうかいどおう。好太王)が朝鮮半島に進出してきた倭(わ)を撃退、427長寿王が平壌に都を移し、唐・百済・新羅と争ったが、668唐・新羅連合軍に滅ぼされた。

皇后(こうごう)←大后(たいこう・たいごう・おおきさき)
 天皇の正妻。大王の正妻は大后。天武天皇の頃(皇后は後の持統天皇)に称号が定着し、大后は皇太后の略称となる。一条天皇から二后並立制(皇后・中宮)がとられた。

皇太子(こうたいし)=東宮(とうぐう)=春宮(とうぐう)←太子
 皇位を継ぐ予定の唯一の皇子(または王子・皇女・王女)。次期天皇。七世紀頃に成立?

孝徳天皇(こうとくてんのう)←軽皇子(かるのおうじ・かるのみこ)
 (596?-654) 伝三十六代天皇。茅渟王(ちぬのおう・ちぬのおおきみ)の子。母は吉備姫王(きびつひめのおおきみ) 645即位し、難波長柄豊碕宮(なにわながらのとよさきのみや)へ遷都、646改新の詔を発し、公地公民制を基本方針とした諸政策を行うが、後に皇太子の中大兄皇子と対立、654難波で没した。
ウソ味

国際連合(こくさいれんごう)≦国連(こくれん)
 (1945-) 1945戦勝国五十一か国によって成立した国際機関。本部はニューヨーク。日本は1956加盟。総会・安全保障理事会(アメリカ・イギリス・ロシア・フランス・中国からなる常任理事国五か国と総会で選ばれた非常任理事国十か国からなる)・経済社会理事会・信託統治理事会・国際司法裁判所・事務局などからなる。

国記(こっき)
 620蘇我馬子と聖徳太子が『天皇記』などとともに編修した史書。645乙巳の変で蘇我蝦夷が討たれる前に焼こうとしたが、船恵尺(ふねのえさか)が取り出し、中大兄皇子(なかのおおえのおうじ。天智天皇)に献上したという。

天皇記(てんのうき)
 推古天皇の代に蘇我馬子(そがのうまこ)・聖徳太子が編修した史書。乙巳の変で蘇我蝦夷(えみし)が打たれるときに燃やしたため現存しない。

左大臣(さだいじん)
 律令制における執政官。太政大臣欠員時の最高官。国政を統括した。645大化の改新で阿倍内麻呂(あべのうちまろ。倉梯麻呂)が任じられたのが最初。 

新羅(しらぎ・しんら)
 (前57?-935) 古代朝鮮三国の一つ。四世紀前半に辰韓(しんかん)十二国を統一、唐と連合して西の百済(くだら)と北の高句麗(こうくり)を滅ぼし、684朝鮮半島を統一するが、935高麗(こうらい)によって滅亡した。

神道(しんとう)
 日本に古来から伝わる民族信仰。古墳時代の氏神(うじがみ)崇拝に始まり、平安時代に神社制度が整備され、鎌倉時代には伊勢(いせ)神道、室町時代には唯一(ゆいいつ)神道、江戸時代には垂加(すいか)神道といった理論も生まれた。

蘇我氏(そがし・そがうじ)
 古代の大豪族。姓は臣(おみ)。氏祖は武内宿祢(たけちのすくね)の子・蘇我石河(そがのいしかわ)という。大和国高市郡(たかいちぐん)蘇我を本拠とした。大和政権で重きをなし、次々と大臣(おおおみ)を輩出、財政を担当したが、645中大兄皇子らに滅ぼされた。

蘇我入鹿(そがのいるか)蘇我鞍作(そがのくらつくり)
 (?-645) 大臣(おおおみ)。蝦夷の子。643蝦夷より大臣を譲られ、斑鳩宮(いかるがのみや)に山背大兄王(やましろのおおえのおう)を攻め滅ぼして権勢を誇ったが、645中大兄皇子(天智天皇)・中臣(藤原)鎌足らによって飛鳥板蓋宮(あすかいたぶきのみや)にて殺害された。⇒乙巳の変

蘇我馬子(そがのうまこ)
 (?-626) 大臣(おおおみ)。稲目(いなめ)の子。崇仏に努め、587排仏派の物部守屋(もののべのもりや)と有力皇位継承者・穴穂部皇子(あなほべのおうじ)らを討ち、崇峻(すしゅん)天皇を立てるが592に暗殺し、推古(すいこ)天皇を擁立、聖徳太子(厩戸皇子)を太子(摂政)に立てて国政を主導、596飛鳥寺(あすかでら。法興寺)を完成させ、620聖徳太子とともに『天皇記』『国記』を編修した。襲撃味

蘇我蝦夷(そがのえみし)
 (?-645) 大臣(おおおみ)。馬子の子。593山背大兄王を推した境部摩理勢(さかいべのまりせ)を滅ぼして舒明(じょめい)天皇を擁立、子の入鹿とともに権勢を誇るが、645乙巳の変で入鹿が殺され、自宅に放火して自殺した。

蘇我倉山田石川麻呂(そがのくらやまだのいしかわまろ)蘇我石川麻呂
 (?-649) 右大臣。倉麻呂(くらまろ)の子。644娘の遠智媛(おちのいらつめ)を中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)に嫁がせ、645乙巳の変で蘇我入鹿(いるか)暗殺に協力、大化の改新で右大臣になるが、649謀反の罪をなすりつけられ、山田寺で自殺した。

高向玄理(たかむこのくろまろ・たかむこのげんり)
 (?-654) 学者。国博士。渡来人の子孫。608-640遣隋留学生として隋へ渡り、隋・唐で学習、645大化の改新で国博士に就任、646新羅に派遣され、647新羅の貴族・金春秋(きんしゅんじゅう)と帰国、654遣唐使として唐に渡り、長安で没した。

中国(ちゅうごく)=中華人民共和国(ちゅうかじんみんきょうわこく)←中華民国(ちゅうかみんこく)
 (1912-) 東アジアにある国。1912孫文(そんぶん)が臨時大統領になって中華民国が成立、袁世凱(えんせいがい)が専制支配を確立し、1928蒋介石(しょうかいせき)が国内を統一するが、1937-1945日中戦争で衰退、1949中華人民共和国が成立した。現在の首都は北京。

朝鮮民主主義人民共和国(ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこく)=北朝鮮(きたちょうせん)
 (1948-) 東アジアの朝鮮半島北部にある社会主義国。1945日本降伏後ソ連が占領、金日成(キムイルソン・きんにっせい)らが臨時人民委員会を組織し、1948韓国に対抗して独立した。首都は平壌(ピョンヤン・へいじょう)。

天智天皇(てんちてんのう・てんじてんのう)←中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)
 (626-671)伝三十八代天皇(在位668-671)。舒明(じょめい)天皇の皇子。母は皇極(こうぎょく)・斉明(さいめい)天皇。中臣(藤原)鎌足とともに645蘇我蝦夷・入鹿父子を滅ぼし(乙巳の変)、叔父の孝徳(こうとく)天皇を擁立し、皇太子として大化の改新を断行、654孝徳天皇没後は母を立て、皇太子のまま執政、663白村江(はくすきのえ・はくそんこう)の戦で唐・新羅に大敗した後、667近江大津宮(おうみのおおつのみや)に遷都し、668近江令(おうみりょう)を編集、670庚午年籍(こうごねんじゃく)を作成した。工作味 ウソ味 日朝味5

天皇(てんのう)
 古代〜現代に至る日本の国王。もとはヤマト政権の大王。七世紀から天皇に移行。初代天皇(大王)は神武(じんむ)天皇? 今上天皇は伝百二十五代。大日本帝国憲法では大日本帝国の元首、日本国憲法では国民統合の象徴。
女帝味

天皇記(てんのうき)
 620蘇我馬子(そがのうまこ)と聖徳太子が編修した史書。645乙巳の変で蘇我蝦夷(えみし)が討たれるときに燃やしてしまった。

渡来人(とらいじん)=帰化人(きかじん)
 4〜6世紀に朝鮮や中国から日本に移住してきた人々。大陸の先端技術を有するものが多く、ヤマト政権の政治や文化に大きな影響を与えた。秦(はた)氏の祖・弓月君(ゆづきのきみ)、東漢(やまとのあやうじ)氏などの祖・阿知使主(あちのおみ)、西文(かわちのふみ)氏の祖・王仁(わに)が有名。

日本(にほん・にっぽん・やまと)≧日本国(にっぽんこく・にほんこく)
 東アジアにある国。古くは倭(やまと)と呼ばれたが、天武天皇の頃(七世紀後半)に改め、八世紀からは国際的にも使用するようになった。1889大日本帝国憲法制定により「大日本帝国」になるが、1946日本国憲法公布により「日本国」となった。現在の首都は東京。

藤原鎌足(ふじわらのかまたり)←中臣鎌足(なかとみのかまたり)←中臣鎌子(かまこ)
 (614-669)公卿。内臣(うちつおみ・ないしん)。藤原氏の祖。中臣御食子(みけこ)の子。舒明(じょめい)天皇の代に神祗伯(じんぎはく)を辞退して隠棲、初め軽皇子(かるのみこ。孝徳天皇)に、次いで中大兄皇子(天智天皇)に近づき、645中大兄皇子らと飛鳥板蓋宮(あすかいたぶきのみや)で蘇我入鹿(そがのいるか)を暗殺、蘇我蝦夷(えみし)を滅ぼし、孝徳(こうとく)天皇を擁立、中大兄皇子を皇太子に立て、大化の改新で内臣(うちつおみ・ないしん)に就任、近江令編集に関わり、死の直前に藤原姓と大織冠(たいしょくかん)を受けた。
工作味

仏教(ぶっきょう)=仏道(ぶつどう)
 釈迦(しゃか)を開祖とする宗教。日本には欽明(きんめい)天皇の時代に百済の国王・聖明王(せいめいおう)によってもたらされた。年代については552説(『日本書紀』による)と538説(『上宮聖徳法王帝説(じょうぐうしょうとくほうおうていせつ)』『元興寺縁起(がんごうじえんぎ)』による)がある。これを「仏教公伝」とするが、これ以前にも渡来人・司馬達等(しばたっと)が自宅で仏像を礼拝していたという(仏教私伝)。以後、従来からあった神道(しんとう)と並んで浸透した。

(みん)
 (?-653) 僧・学者。国博士。渡来人の子孫。608学問僧として隋に渡り、隋・唐で学習、632帰国して蘇我入鹿(そがのいるか)・中臣鎌足(なかとみのかまたり)らに学問を教え、645大化の改新で国博士に就任、高向玄理(たかむこのくろまろ)とともに律令制の行政機関八省百官を立案した。

山背大兄王(やましろのおおえのおう)
 (?-645) 聖徳太子の第一王子。推古(すいこ)天皇死後、境部摩理勢(さかいべのまりせ)に推されたが、摩理勢は蘇我蝦夷(えみし)に殺され、蝦夷の推す田村皇子(舒明天皇)が皇位に就いた。643蘇我入鹿に本拠斑鳩宮(いかるがのみや)を襲撃され、一族もろとも自殺に追い込まれた。

吉野(よしの)
 大和国南部。現在の奈良県吉野町を中心とする地域。古来、修験道の聖地として栄え、南北朝時代には南朝の拠点となった。

利益線(りえきせん)
 1890山県有朋(やまがたありとも)が「外交政略論」で述べた日本の勢力範囲。国土を主権線とし、主権線を守るために密接不可欠な近隣地域を利益線とした。具体的には朝鮮半島を指す。

(わ・やまと)
 日本または大和国の古名。七〜八世紀に国名を「大倭」→「大養徳」→「大和」と改め、総国名は「日本」に改めた。

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