2.久米川の戦(1333.5/12) | ||||||||||||||
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五月十二日、新田義貞は早起きした。
「気分のいい朝だ」
脇屋義助も早起きした。
「こんな日は戦争だ!」
「そうだ!戦だ!朝駆けだ!みなの者をたたき起こせ!」
新田軍は入間川を渡った。
義貞は八国山(東京都東村山市)に登って偵察した。
上野・下野・常陸・安房・相模・駿河・信濃・甲斐八か国の山々を見渡せることから名づけられた山で、義貞が上ったとされる場所は「将軍塚」と呼ばれるようになる。
「援軍はまだ来ていないようだ。みなの者、とっとと攻め込むぞー!」
「おおー!」
現在の久米川周辺(東京都東村山市) |
新田軍は久米川を渡った。
そこは幕府軍の陣所であった。
桜田貞国は寝ていた。
「敵襲!」
聞いて飛び起きた。
「もう来た!」
さっそく態勢を整えた。
軍勢を広げ、包み込むようにつぶそうとした。
しかし義貞はひとかたまりになって弾丸のように攻めてきた。
分散した幕府軍は崩壊した。
「撤収!」
貞国は退却命令を出した。
幕府軍は多摩川(たまがわ)の分倍河原まで撤退した。
「追撃しますか?」
義助はまだやる気であったが、義貞は制した。
「敵地での深追いは危うい。どこから援軍が出てくるか分からぬ。これで新田の強さは東国中に広まるであろう。しばらく兵馬を休めるとしよう」