★ こんなはずじゃなかった……。人生を終わらせた痛恨のミス!
〜鎌倉時代の幼帝・四条天皇のかわいそうな最期!!

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ミス
★ 四条天皇のミス 
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 ウソは故意であるが、ミスは過失である。
 ウソは口から生じるが、ミスは口だけから発生するとは限らない。
 ウソには悪いウソとそうでないものがあるが、ミスは常に悪いものである。

 人はミスするものである。ミスを完全に無くすことは不可能であるが、いつも気を張り詰め、何度も確認することによって、その回数を減らすことは可能である。疲れているからとか、余裕がないからという理由は、第三者には何の言い訳にもならない。
「いつもやっていることだから大丈夫だろう」
 油断も禁物だ。ミスは忘れた頃、慣れてきた頃にやってしまうものである。
 そして、やってしまったら、おしまいである。
 今まで築き上げてきた信用は一瞬にして失墜し、商談不成立→取引中止→おしかり→減給・左遷・降格→リストラ・倒産→借金返済不能→夜逃げ→貧困→強盗・殺人→刑務所→死刑→ウラメシヤ〜、といった悲劇が続々と容赦なく襲いかかってくるのだ。

 自分のせいで自滅するミスは、人はとやかく言わない。笑いものにされるだけである。
 が、その被害が自分のところまで及んでくると、人は目をつり上げて怒り出す。
「なにさらすんじゃ、あほんだら!」
 その場合、ミスした当人は割かし落ち着いている。
「そんな、怒るような大きな問題じゃないよ〜」
 大きな問題かどうかは、ミスした当人が決めることではない。被害を受けた被害者が決めることだ。

 平成十四年(2002)四月末、天下のみずほ銀行がミスって日本中を大混乱に陥らせた。
「お詫びに金利を倍増します」
「当分の間、手数料はいただきません」
 このぐらい太っ腹のことをすれば、かえって顧客は増え、評判も良くなったであろうに、惜しいチャンスを逃したものだ。

 五月、今度は中国・瀋陽(しんよう・シェンヤン。旧称奉天)にある日本総領事館がミスって日本に大恥をかかせた。江戸時代なら切腹もののミスである。
 フェートン号事件を御存知であろうか?
 日本鎖国していた頃、貿易が許されていたのは中国・オランダ
(長崎出島でだけ)・朝鮮(対馬でだけ)及び、琉球とアイヌだけだった。当然、この他の国は日本に入国することも許されなかったのである。
 ところが文化五(1808)年、長崎湾岸にイギリス軍艦フェートン号がオランダ船を装って入港し、水や食糧を要求して三日後に去っていくという事件が起こってしまった。
 当時の長崎奉行・松平康英
(まつだいらやすひで)は、責任を感じて切腹し、警備を怠った肥前佐賀藩主・鍋島斉正(なべしまなりまさ)も閉門(謹慎)百日の処罰を受けている。
「事態を把握していなかった」
 そんなことはいつの時代も理由にならないのである。

*          *          *

○条天皇 代数 生没年 在位年
一条天皇 66代 980-1011 986-1011 円融天皇 東三条院
後一条天皇 68代 1008-1036 1016-1036 一条天皇 上東門院
二条天皇 78代 1143-1165 1158-1165 後白河天皇 藤原懿子
後二条天皇 94代 1285-1308 1301-1308 後宇多天皇 西華門院
三条天皇 67代 976-1017 1011-1016 冷泉天皇 藤原超子
後三条天皇 71代 1034-1073 1068-1072 後朱雀天皇 陽明門院
四条天皇 87代 1231-1242 1232-1242 後堀河天皇 藻璧門院
六条天皇 79代 1164-1176 1165-1168 二条天皇 伊岐氏

 今回取り上げるのは鎌倉時代の幼帝・四条天皇(しじょうてんのう)のミスである。
 それにしても四条天皇と聞いてすぐに鎌倉時代の天皇だと分かる方は少ないであろう。
 彼だけではない。○条天皇というのは歴代に八名いるが、余り存在感のある天皇はいない。教科書に記述があるのも、後三条天皇ぐらいであろう。右に列挙したが、読者の方々、いったい何人御存知だろうか?

 仁治三年(1242)一月九日、四条天皇は急死した。不慮の死だった。享年わずか十二。
 彼はだれかに殺されたわけではなかった。不治の病に冒されていたわけではなかった。死亡の原因は彼自身にあった。彼は自身のミスによって幼い命を失ってしまったのである。

 かわいそうに。天皇といえども少年である。少年ならだれでも抱くであろうイタズラ心が彼の人生を狂わせるにとどまらず、終わらせてしまった……。
 彼の悲劇は現在の少年には降りかからないとは言い切れない。今回は同じような年頃の子供さんを持つ親御さん必見の物語であろう。

[2002年5月末日執筆]
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「四条天皇」登場人物 

【四条天皇】しじょうてんのう。伝87代天皇。後堀河天皇の皇子。

【九条彦子】くじょうげんし。後の宣仁門院。四条天皇の女御。道家の孫娘。
【九条道家】くじょうみちいえ。九条彦子・頼嗣の祖父。頼経の父。

【侍女P】四条天皇のお付きの女官。

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