★  鎌倉騒擾大炎上! 修羅場! 火事場! 心中現場!
  〜 鎌倉後期最大の抗争・霜月騒動(しもつきそうどう)!!

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プロ野球再編問題
1.御家人代表・安達氏
2.御内人代表・平(長崎)氏
3.過激僧・日蓮
4.ヤミ金融の暗躍
5.そして、霜月騒動

 少年の頃、私は夢を見ていた。
 それは、野球選手になる夢だった。
僕は将来、漫画家になるんだ」
 口では人に言いながら、本当は野球選手になりたかった。
 野球がうまいわけではなかった。
 むしろ、下手だった。
 野球その他全般、ほとんど手に負えないほどの完全無欠の運動音痴
(おんち)であった。

 そんな私ですら、野球選手にあこがれていたのである。
 日々、バットの素振りをしていたわけではなかった。
 毎日、キャッチボールをしていたわけではなかった。
 でも、野球選手になって大活躍している空想は、ほとんど毎日のようにしていた。
 長じるとともにそれらの空想は、エロ妄想の占める割合のほうが多くなっていくのであるが……。

 多くの少年は、スポーツ選手にあこがれているはずである。
 少年がスポーツを観戦するのは、そこに未来の夢を思い描いているからであろう。
 大人がスポーツを観戦するのは、そこに過去の夢を思い出しているからであろう。

 本来、赤の他人が行っている試合が勝とうが負けようが、どうだっていいことのはずである。
 それでも勝ったらうれしいのは、負けたら悔しいのは、思わず手に汗握って応援してしまうのは、いい試合に感動してしまうのは、選手と同化しているからであろう。
 試合をしているのは選手ではない。観客自身がしているのだ! 投げているのは、打っているのは、走っているのは、跳
(と)んでいるのは、蹴(け)っているのは、回っているのは、泳いでいるのは、絶叫しているのは、感激しているのは、ほかならぬ自分自身なのだ!

 スポーツは夢である。希望である。まだかなっていない、かなえられなかった、決してかなうことはできない夢をかなえてくれる、奇跡の至宝の魔法である。
 そんな神聖なスポーツを、本当は商売や賭
(か)けの対象にして欲しくはない。
 感動や感激は、カネで売買されるものではない。
 揉
(も)め事などというものも、起こって欲しくはない。
 選手が乱闘するのはいい。
 直接試合に関与していない興行師に、鵜匠
(うしょう)に、猿回しに、揉め事を起こす資格など、あろうはずがない!

 一リーグ再編か?
 二リーグ継続か?
 九月八日に開かれるオーナー会議の結果はどうであろうか?
 別件で引責辞任した渡辺恒雄
(わたなべつねお)読売巨人軍元オーナーの影響力は、どのくらい残っているのであろうか?
 堀江貴文
(ほりえたかふみ)ライブドア社長は、プロ野球に参入できるのであろうか?
 まだどうなるかは分からないが、縮小するとすれば、さびしいことである。
 選手会
(会長・古田敦也)が一リーグ再編に反対してストライキを起こす気合を見せているが、そんなことをしても効果はない。
 それよりも、
「一リーグにするんなら、大リーグに移籍してやる!」
「おれは韓国に行く!」
「僕は台湾だ!」
 と、全選手が連帯して外国への大量移籍をほのめかし、脅しをかけるほうがいい。
 ただ、そんなことはできまい!
 でも、選手会が本気で反対しているのであれば、やるはずである。

 もっといい方法もある。
 現在の日本プロ野球組織
(NPB)に代わる新組織を立ち上げて、そこに全選手が移籍してしまえばいいのだ。
 でも、選手会にそんな勇気はあるまい!
 誰もが自分が一番かわいいんだ! 危険な橋を渡るより、これまで通りゼニをもらい、それをナデナデし続けていたいのだ!
 あるまい! あるまい! 絶対にあるまい!
 どちらもできないのであれば、オーナーたちの望み通り、いい子にしているしかないであろう!

 数十年後、野球はまだ存在しているであろうか?
「野球? なにそれ?」
 誰も知らない、忘れられた伝統芸能になっていないであろうか?
 無形文化財として細々と保護されるまでに落ちぶれていないであろうか?
「ここに昔、何とかっていうスポーツの競技場があったらしいよ」
「なんとかって、何?」
「さあ?」
 甲子園はぺんぺん草に覆われ、砂塵
(さじん)舞い木枯らし吹きすさぶ廃墟の遺跡に変貌(へんぼう)してはいないであろうか?

*               *               *

 さて今回は、執権政治から得宗専制政治への転換点となった鎌倉後期の内部抗争「霜月騒動」を採り上げたい。
 なぜ、十一月でもないのに、霜月騒動なのか?
 現在のプロ野球再編
(合併)問題とどんな関係があるというのか?

 巨人や放映権を引っ張り合うセ・リーグとパ・リーグの争いは、執権や政権をめぐる御家人御内人の争いに似てはいないであろうか?
 また、UFJを引っ張り合う三菱と三井にも、似てはいないであろうか?
 現在の世情は、まさしく霜月騒動であろう。

*          *          *

※ 上記の文章はライブドア事件(平成十八年一月)以前の執筆です。

[2004年8月末日執筆]
参考文献はコチラ

「霜月騒動」登場人物 

【安達泰盛】あだちやすもり。評定衆。御家人の代表。

【安達宗景】あだちむねかげ。安達泰盛の子。
【安達景盛】あだちかげもり。安達泰盛の祖父。三浦氏を滅ぼす。
【北条貞時母】泰盛の娘(または妹)。

【 日 蓮 】にちれん。法華宗開祖。平頼綱に殺されかける。

【北条貞時】ほうじょうさだとき。得宗。幼君。北条時宗の子。

【平宗綱】たいらのむねつな。平頼綱の子。
【飯沼資宗】いいぬますけむね。平頼綱の子。

【平 頼綱】
たいらのよりつな。内管領。御内人の代表。妻は貞時の乳母。

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