1.やられたらやり返す

ホーム>バックナンバー2013>1.やられたらやり返す

「半沢直樹」と汚染水漏れ問題
1.やられたらやり返す
2.泥棒とオオカミに倍返し
3.サルには十倍返し

 ザアザア。しとしと。ぴっちゃんちゃん。
 降り続く雨音の中に、妙な物音が交じっていた。
「こけ!こけ!」
 ばりばり。
「ぎゃーこっこ!」
 むしゃむしゃ。
「ワオーン
(ニワトリ、うめえ)!」
 ずりずり、べろんべろん〜。
「オンオーン
(うますぎだぜー)!」
 ぐちゃぐちゃ。げっぷぅ〜。
「ハア、ハア
(また、来よっ)

 おばあさんは目覚めた。
 眠っていたおじいさんをゆすった。
「おじいさん、おじいさん。何か鳥小屋の方が騒がしいですよっ」
 おじいさんが半分眠りながら言った。
「ほっとけ。若者たちの夜のジャマをするな」
「そうですかね?」
「そうだよ。鳥鎌メッシ
(とりかまめっし)と国光恵子(こっこうけいこ)と戸坂ジャン(とさかじゃん)と鳥羽沙紀(とばさき)が乳繰り合っているんだろう」
 飼っているニワトリ四羽の名前である。
「それならいいですけど」
「ええのう、若いモンは〜」

 翌朝、鳥小屋を見に行ったおじいさんは、そうではなかったことに気が付いた。
 ジャンと沙紀が小屋の隅でブルブル震えていたのである。
「どうした?」
 おじいさんは不思議がった。
「そういえば、メッシと恵子はどこに行った?」
 小屋の中にはいなかった。
 網に穴が開いていた。
「逃げたか?」
 そうではなかった。
 おじいさんは足元に羽根が散乱しているのに気付くと、その中に落ちていたものを拾って絶叫した。
「ギャー!メッシと恵子が骨片になってるー!」

 そこへおばあさんが駆けつけ、さらなる悲報をもたらした。
「おじいさん!馬小屋に二頭いた子馬のうち一頭がいません!」
 おじいさんはワナワナと震えた。
「おのれ!誰がやった?」
 おばあさんはおじいさんよりは冷静であった。
「どうやら馬は泥棒に、ニワトリはオオカミにやられたようですね」
 おじいさんはメラメラと立ち上がった。
「このままではすまさない!子馬もニワトリもまだ残っている。ヤツらは再びやって来る!やられたらやり返す!倍返しだ!」

歴史チップス ホームページ

inserted by FC2 system