★ 悪因悪果!勧善懲悪?またも歴史に反旗を翻す!? 〜 平安版南北朝動乱「薬子の変」をひっくり返す!! |
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ホーム>バックナンバー2008>自衛隊が暴走することはないのか?
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日本は長い間、外国に支配されることはなかった。
日本を支配したことのある外国は、表向きはアメリカだけである(ウラ向きには明治維新のイギリスがある)。
一方で、クーデターを起こされて滅ぼされた政府は数知れない。朝廷・鎌倉幕府・建武政権・室町幕府・江戸幕府、つまり大日本帝国を除いた過去のすべての歴代日本政府がそうであったといっても過言ではない(考えようによっては、大日本帝国も含まれる)。政府は外国から守るために軍隊を設けるものであるが、実際は自国の配下の者に滅ぼされるほうが圧倒的に多いわけである。
このことは時代を問わず、日本に限らず、どこの国でもいえることである。もっとも警戒すべきは外国の軍隊ではない。自国の軍隊なのである。
こう考えると、外国が軍備拡張したというニュースを聞くと、何だかほほえましく思えてしまう(不謹慎だが……)。
「あーあ。その矛先はどっちに向いているんだろうね〜?」
反面、対抗して軍拡を行う国はバカ丸出しである。
何も自滅競争に参加することはないし、軍拡を行えば、敵も軍拡し、味方も軍拡し、敵も軍拡し、味方も軍拡するという、愚の骨頂な無際限ドツボにはまってしまうわけである。
ただし、私は国が軍隊を持つことに反対はしていない。
当然、自衛隊もあってしかるべきだと思っているし(もっとも自衛隊は軍隊ではなく「軍隊もどき」のはずだが……)、自衛隊が「無用の長物」ではないことは、多くの国民が理解しているはずである。
が、自衛隊の海外派兵には反対である。
たとえそれが人助けであったとしても、反対せざるをえない。
「どうして?人助けならいいじゃないか!」
そう思われるかもしれない。
人間というものは弱い生き物なのである。
初志というものは、大半が汚れていくものである。
そこに利権があれば、よからぬ人が集まり、謀議し、善人までをも飲み込み、限りなく悪行を増大させていくものである。
自国でやっている分はかわいいものである。
それを外国でやる場合は、戦争という問題がどうしても頭をもたげてくるわけである。
かつての関東軍はそうやって誕生し、成長し、暴走したのではあるまいか?
戦前の軍部に限らない。
このことは自衛隊にもいえることである。
将来、海外派兵に慣れた自衛隊は、いつの間にかアフリカなんかに勝手に植民地を構築し、拡大させ、ついには政府も手に負えない悪魔になってしまう可能性があるわけである。これを阻止するためには、海外派兵自体をやめるぺきであろう。
近年、防衛省の不正が次々と暴露され、自衛隊員や軍つながりの人々の犯罪も目立つようになってきた。ここまで来ると個人の問題ではなく、省全体がそういう体質になってしまっていると思わざるをえない。
そんな彼らを積極的に外国に送り込んだらどういうことになるであろうか?
「人助けにきたよー」
「ありがとー」
「へっへっへ。ここなら裏金を作ってもばれないぞ」
「どうぞどうぞ」
「ワイロをもらってもばれないぞ」
「どうぞお納めください」
「あんなことをしてもこんなことをしてもばれないぞ」
「それはいけません!やめてください!」
「どうせばれないんだから、もっと手広くやってやろう」
「やめてくださいって!本国に知らせますよっ!」
「何をコノヤロー!」
バン!バン!どっかーん!
歴史は繰り返すものである。
派兵や駐留という非常事態を当然だと思い始めたときが危険なのである。
すでにイラクの駐留米軍も怪しいものである。イランのことも、彼らがあれこれとウラ工作をしているように思えてならない。
基本、自国のことは自国ですべきである。
冷たいといわれようが何と言われようが、それが一番無難である。
日米両軍は早々と外国から総撤退すべきであろう。
悪魔にすべてを支配されてしまう前に――。
* * *
はい。と、いうわけで今回は先月号「平城味」の続編、平安時代初期の南北朝動乱薬子の変になっております。
「あー、あの愛人藤原薬子にそそのかされて挙兵した平城上皇が嵯峨天皇の追討軍に敗れちゃった戦いねー」
ところがこの物語では、平城vs.嵯峨というより、式家の藤原仲成vs.北家の藤原内麻呂(ふじわらのうちまろ)の構図なのである。前号を「藤原四家王者決定戦」の「準決勝」すれば、今回は「決勝戦」ということになる。
今回の根本史料は平安時代初期の正史『日本後紀』である。
当然これは勝者が編修した史料のため、私はその裏を読み、アレンジを加え、こんなに史実をひっくり返してみた。
暴論奇論は毎度のことなので、どうか御理解のほどを。
[2008年7月末日執筆]
参考文献はコチラ
【藤原仲成】ふじわらのなかなり。参議・右兵衛督ほか。式家。薬子の兄。
【藤原緒嗣】ふじわらのおつぐ。参議ほか。式家。
【平城天皇(上皇)】へいぜいてんのう(じょうこう)。伝五十一代天皇。桓武天皇皇子。先帝。
【藤原薬子】ふじわらのくすこ。典侍→尚侍。仲成の妹。平城天皇の愛人。
【嵯峨天皇(神野親王)】さがてんのう(かみのしんのう。伝五十二代天皇。平城天皇弟。新帝。
【坂上田村麻呂】さかのうえのたむらまろ。武人。中納言→大納言・兵部卿。嵯峨天皇側近。
【坂上広野】さかのうえのひろの。右兵衛佐。田村麻呂の次男。
【藤原葛野麻呂】ふじわらのかどのまろ。中納言。平城天皇側近。
【藤原園人】ふじわらのそのひと。中納言→大納言。北家。良吏。
【朝原内親王】あさはらないしんのう。平城天皇妃。桓武天皇皇女。
【出雲広貞】いずものひろさだ。侍医。
【藤原雄友】ふじわらのおとも。前中納言→弾正尹。南家。
【秋篠安人】あきしののやすひと。前参議→参議。
【文室綿麻呂】ふんやのわたまろ。武人。兵部大輔→参議。平城天皇側近。
【上毛野穎人】かみつけののかいひと。大外記。平城天皇側近。
【紀 清成】きのきよなり。左近衛将監。内麻呂の部下。
【公卿百官たち】
【兵衛たち】
【近衛舎人たち】
【藤原真夏】ふじわらのまなつ。内麻呂の長男。平城天皇側近。
【藤原冬嗣】ふじわらのふゆつぐ。内麻呂の次男。嵯峨天皇側近。
【藤原内麻呂】ふじわらのうちまろ。右大臣・左近衛大将。北家。政界首班。