2.実 践

ホーム>バックナンバー2023>令和五年3月号(通算257号)仲直味 三角関係をぶっ壊す2.実践

戦争をやめさせる方法
1.提 案
2.実 践

 オオクニヌシは手当たり次第に求婚しまくることにした。
 出かけるたびにオンナを増やしていった。
 国土平定の遠征のたびに現地妻を作っていった。
 オオモノヌシ
(大物主神)と名を変えてまでそこら中の女に夜這(よば)いしまくった(「初詣味」参照)
 ヌナカワヒメ(沼河比売)という遠い遠い高志(こし。越)の国にいる美女にまでちょっかいをかけに行った。
 結果、大勢の妻から百八十一人の子ができたという。

 それでも、オオクニヌシの最愛は正妻のスセリビメであった。
 彼が妻に贈った歌が『古事記』にあるので紹介する。

  ぬばたまの 黒き御衣を
  まつぶさに 取り装ひ
  奥つ鳥 胸見る時
  羽たたぎも これはふさはず
  辺つ浪 そに脱ぎ棄て
  そに鳥の 青き御衣を
  まつぶさに 取り装ひ
  奥つ鳥 胸見る時
  羽たたぎも こもふさはず
  辺つ浪 そに脱ぎ棄て
  山県に 蒔きし あたねつき
  染木が汁に 染衣を
  まつぶさに 取り装ひ
  奥つ鳥 胸見る時
  羽たたぎも こしよろし
  いとこやの 妹の命
  群鳥の 吾が群れいなば
  引け鳥の 吾が引けいなば
  泣かじとは 汝は言ふとも
  山跡の 一本すすき
  項傾し 汝が泣かさまく
  朝雨の さ霧に立たむぞ
  若草の 嬬(つま)の命
  事の 語りごとも こをば  

 対するスセリビメの歌もある。

  八千矛の 神の命や
  吾が大国主
  汝こそは 男にいませば
  うち廻る 島の埼々
  かき廻る 磯の埼おちず
  若草の 嬬持たせらめ
  吾はもよ 女にしあれば
  汝を除て 男は無し
  汝を除て 夫は無し
  文垣の ふはやが下に
  蒸被 柔が下に
  栲被 さやぐが下に
  沫雪の わかやる胸を
  栲綱の 白きただむき
  そ叩き 叩きまながり
  ま玉手 玉手差しまき
  股長に 寝をしなせ
  豊御酒 たてまつらせ

 どうやら二人は仲直りしたようである。
 ていうか、スセリビメがあきれ果てて開き直ったようである。
 彼女はオオクニヌシにこう言ったかも知れない。
「あなたはどうして八千矛神
(やちほこのかみ)って呼ばれているんですか?」
「八千本の矛を持っているからだよ」
「なるほどね。アソコに八千本も付いてるから、お盛んなのね」
「……」

[2023年2月末日執筆]
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