5.恐怖!斯波義将!!

ホーム>バックナンバー2010>5.恐怖!斯波義将(しばよしまさ・よしゆき)!!

◆ 砲撃!延坪島!!
1.逆襲!細川頼之!!
2.説得!大内義弘!!
3.謀略!足利義満!!
4.討伐!山名時煕!!
5.恐怖!斯波義将!!
6.管領!細川頼元!!

 山名時煕・氏之兄弟と土岐康行の失脚は、斯波派の盟主である管領・斯波義将にとっては脅威であった。
(ひょっとして、今度はそれがしの番か……?)
 そんな折、足利義満からこんなことを言われた。
「近いうちに気比
(けひ)社に詣でる」
 義将はガガーンとなった。
(やっぱりそれがしの番だー!)
 気比社
(気比神宮。福井県敦賀市)越前の一宮、つまり、義将の領国にあるのである!
「えらいこっちゃー!国中から美少年を集めろおー!」

 明徳元年・元中七年(1390)九月、義満は気比社を詣でた。
「いらっしゃいませっ将軍さま」
 義将は次から次へと美少年を繰り出して徹底的にもてなしたが、義満の口から出たのは、
「ああ、頼之に管領をやらせたい……」
 であった。
「……」
「そちに管領を辞めてほしいわけではない。そちは仕事ができる。人柄もいい。しかし余はそれ以上に頼之に管領をやらせたいのじゃ。この気持ち、いったいどうすればいいかのう?」
「……」
「そちは今年でいくつになった?」
「四十一歳でございまする」
「ほー。頼之は今年で六十二じゃ」
「……」
「つまり、余命いくばくもない」
「……」
「それに比べてそちにはまだ将来がある」
「……」
「ここで管領を辞めたとしても、何度でも再任の機会が訪れる」
「……」
「勘違いするでない。そちにやめろと言っているわけではない。そちのほかにも死ぬほど管領をやりたがっている者がいるぞということを教えてやっているだけじゃ」
「……」
「今すぐ辞めろといっているわけではない。来年あたりでどうじゃ?」
「……」
「あーあ。山名時煕も氏之も土岐康行も、なぜか領国を没収されたの〜う」
「……!」
「どうして減ったのかの〜う?いったいどこのどいつが謀略の限りを駆使したのかの〜う?」
「わわわっ、分かりましたってっ!」
 たまらず義将は泣きそうに鳴いた。
「来年になったら、管領職をお譲りいたしますぅ〜」
 義満は喜んだ。
「そうか!余は強制したわけではないのだが、残念だの〜う」

 明徳二年・元中八年(1391)三月、義将は管領を辞して越前に帰った。

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