4.海はふりむかない | ||||||||||||||
ホーム>バックナンバー2022>令和四年3月号(通算245号)侵攻味 小田原城奪取4.海はふりむかない
|
明応四年(1495)八月、相模で大地震が発生した。
小田原城下にも津波が押し寄せ、多くの人や物などを無言でさらっていったという。
「大森様。大丈夫でしたか?」
伊勢宗瑞はすぐさま小田原城に赴き、大森藤頼に支援物資を届けた。
「友よ!」
藤頼は感激した。
「困った時に助けてくれる者こそ真の友なり!」
宗瑞の手を取って何度もお礼を言った。
「予は予の生涯で、こんなにもいい人に出会ったことはなかった!」
宗瑞もニッコリと笑った。
「喜んでくださって、それがしも嬉しいです〜」
そして、心の中だけで続けた。
(すべては汚い目的のためなんですよぉ〜)