★ 雨やまず!虫来たる!大凶作に何を叫ぶ!?
  〜 哀絶!享保の飢饉と戦った義農作兵衛!!

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おいでませ食糧難
1.模範の農民
2.雨やまず
3.虫来たる
4.地獄絵図
5.最後の種籾

 飽食の時代は終わった。
 世界中で食料価格が高騰し、食糧難で暴動が起こる国も出始めた。
 このままでは日本でも食料難が、さらには食糧難もやって来るかもしれない。
「いや。日本にはコメがあるから大丈夫」
 そうである。
 日本を救うことができる道は米食回帰だけであろう。
 何も御飯ばかり食べなくてもいいわけである。パン類も麺
(めん)類も米粉で作ることが可能なのである。コメを食べまくって自給率を高め、強制購入している輸入米も片っ端から始末するしかない。

 それにしてもなぜ日本はコメの輸入を義務付けられてしまったのであろうか?
 かつて日本ではコメはカネであった。
 他の農産物とは違うことを日本はもっとよく説明をし、外国もまたこのことを理解すべきであろう!

 一方、日本にも世界にもバイオエタノール生産に力を入れる人々がいる。
 ワラなど不要なもので作るのであれば問題ない。
 しかし何ゆえ穀物で作るのであろうか?
 これらを燃料にしなければ、多くの飢えた人々が救われるにもかかわらずである。

 食糧不足は人口増加が主因であろうが、燃料不足は戦争こそが主因であろう。戦争で無駄な燃料を使いすぎたがために化石燃料は枯渇し、穀物燃料に頼らざるを得なくなってしまったのである。
 これがどういうことかお分かりであろうか?
 バイオエタノールの生産は、人殺しのためにさらなる人殺しを積み重ねているようなものなのである。先進国民による途上国民の「間引き」にほかならないのである。このような悪行がいつまでも続いていいはずがないし、続くはずもない。いずれ強力なしっぺ返しを食らうことであろう!

 弊サイトでは秦伊侶具(はたのいろぐ)の物語(「モチ味」参照)を紹介したことがあったが、これこそまさしく餅(もち)に矢を射るようなものである。生命を冒涜(ぼうとく)して作ったバイオエタノールは、いずれ鳥になって飛んでいってしまうことであろう!

 穀物には精霊が宿っているという。
 こう言うと鼻で笑う人があるかもしれないが、貴重な命をいただいていることには違いあるまい。
 本来、食事とは楽しいことであろうはずがない。食うか食われるかの命がけの生存競争
(サバイバル)であり、倒した他生物を哀れみながら頂戴(ちょうだい)する鎮魂歌(レクイエム)のはずである。

 というわけで、今回は穀物でバイオエタノールを生産している方々に、ぜひ知って欲しい人物を紹介する。
 義農・作兵衛
(さくべえ)――。
 私が彼の名を知ったのは、ほんの十日ほど前のことである。
 彼の名を知るまでは、バイオエタノールに対して敵意までは持っていなかった。そういった意味では、彼は私の考え方を一変させた男である。

 食糧難――。
 あるいは一度、そういうものが来襲したほうが、かえって日本の将来のためになるかもしれない。

[2008年5月末日執筆]
参考文献はコチラ

「義農作兵衛」登場人物

【 作兵衛 】さくべえ。伊予松山藩筒井村の農民。

【 タ マ 】作兵衛の妻。

【 作 平 】さくべい。作兵衛の父。貧農。

【 作 市 】さくいち。作兵衛の長男。

【 カ メ 】作兵衛の長女。

【作平の次女 】
【筒井村の村人たち】
【伊予松山藩の藩士】
【藩の勘定奉行】

【徳川吉宗】とくがわよしむね。江戸幕府8代将軍。米将軍。

【松平定静】まつだいらさだきよ。伊予松山10代藩主。

【松平定英】まつだいらさだひで。伊予松山7代藩主。


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