2.五手詰(寺子屋) | ||||||||||||||
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「どうにかして金次郎をいい子にできないものか」
父は次の手を考えた。
「お寺でしごいてもらえば?」
母と相談して俺を寺子屋に入れた。
「寺で勉強させれば人が変わるだろう」
父母の考えは甘かった。
この俺が勉強なんてするはずがなかった。
毎日毎日、ワル仲間と将棋を指して遊んでやった。
寺の坊さんが注意した。
「こらこら。将棋はやめて勉強しなさい」
坊さんは対局中の盤上をかき乱した。
ガシャガシャガシャ。
俺は怒った。
「このハゲーッ!」
「!」
「違うだろー!」
「!!」
「『勉強はやめて将棋しなさい』だろーがー!」
「!!!」
俺は寺子屋をやめさせられた。