3.合流! 海津城!

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日本は何をすべきか?
1.出陣! 春日山!
2.対陣! 川中島!
3.合流! 海津城!
4.必殺! キツツキ戦法!
5.看破! 妻女山脱出!
6.恐怖! 車懸の戦法!
7.突撃! 最後の手段!
  

 待っても待っても動かない上杉政虎を見て、武田信玄は首をかしげた。
(おかしい。いつもの政虎なら、そろそろ戦いを仕掛けてくるはずだが……。これでは政虎のほうが『動かざること山の如し』ではないか)
 信玄は考えた。
(何かある……)
 相手は戦争にはめっぽう強いあの政虎である。その政虎が自軍に不利な状況から全く動かないのは、何か理由があると考えたのである。
(まさか……。政虎は越後からの援軍を待っているのではないか)
 信玄は不安になった。越後を背に布陣しているこの状態で援軍が来れば、武田軍は挟撃されてしまう。

 何しろ政虎関東管領である。彼がその気になれば、武田軍を上回る大軍を動かすことは十分に可能である。現に政虎は、先の北条征伐で十万もの大軍で相模小田原城(おだわらじょう。神奈川県小田原市)を包囲しているのである。
 信玄は確信した。
(きっとそうだ。それならこんなところに陣を布いている場合ではない)
 信玄は夜を待って全軍を海津城に集結させた。
 まさに「疾きこと風の如く 徐なること林の如く」であった。

 朝になって武田軍の移動に気付いた政虎は悔しがった。
「しまった! 絶好機を逃した!」
 その一方で、信玄の進軍に感心した。
「さすがは『甲斐の足長殿』と呼ばれている男だ」
「足長殿」とは足が長いわけではなく、すばやいという意味である。
 政虎は海津城をにらんで言い放った。
「ただし、同じ手はこの政虎には通じぬ。次に動いた時が、貴様の最期だ!」

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