1.信濃前司行長 | ||||||||||||||
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北条義時 PROFILE | |
【生没年】 | 1163-1224 |
【別 名】 | 江馬小四郎 |
【本 拠】 | 相模国三浦郡和田(神奈川県三浦市) |
【職 業】 | 武将 |
【役 職】 | 政所別当→執権(1205-1224) ・相模守・陸奥守・従四位下 |
【 父 】 | 北条時政 |
【 母 】 | 伊東入道女 |
【 妻 】 | 姫の前・伊賀の方・阿波局ら |
【 子 】 | 北条泰時・朝時・重時・政村・時範・尚村 ・有時・時尚・女(藤原実雅妻)・女(大江親広妻) ・女(藤原実有妻)・女(中原季時妻) ・女(一条能基妻)・女(足利貞氏妻) |
【兄 弟】 | 北条宗時・政子(源頼朝妻)・時房・政範 ・女(足利義兼妻)・女(平賀朝雅妻) ・女(宇都宮頼綱妻)・女(三条実宣妻) ・女(稲毛重成妻)・女(畠山重忠妻) ・女(坊門忠清妻)・女(阿野全成妻) ・女(河野氏妻)・女(大岡時親妻) |
【主 君】 | 源頼朝→源頼家→源実朝→藤原頼経 |
【仇 敵】 | 比企能員・和田義盛・後鳥羽上皇ら |
【墓 地】 | 法華堂東ノ山(神奈川県鎌倉市) |
「信濃前司行長(しなののぜんじゆきなが)という者を御存知でしょうか?」
「シナノノゼンジということは、以前信濃守を務めていた者だということだな?――はて?ユキナガという名前の者がいたかな?」
「ございません。だから怪しいのです」
「ワケアリか。その信濃前司とやらが、何か?」
「軍記物を作っているそうで」
「ほう」
「題名は『平家物語』。平家が滅んでいく過程を描いた作品だそうです」
「ということは、鎌倉殿(源頼朝)の活躍を描いた作品ということだな?」
「いえいえ。平家が滅亡していくザマだけを強調したものだそうです。権力を持つ者は必ずおちぶれるという盛者必衰の理(ことわり)をあらわしたものだそうで」
「ふふん。我が北条氏は桓武平氏。今やお飾りの将軍(源実朝)を立てて幕政を牛耳っている。つまり、そやつらが『平家物語』を作る意図は、北条氏に対する政治批判ではないのか?」
「おっしゃる通り!」
「誰のサシガネだ?信濃とやらには後援者がいるはずだ」
「元関白・九条兼実公の弟君で、天台座主(てんだいざす)を務めている慈円です(「藤原北家系図」参照)。儒学者で金持ちな菅原為長(すがわらのためなが。高辻為長。「高辻家系図」参照)なども資金援助しているとか」
「やはり、ウラには朝廷か」
「信濃前司行長は生仏(しょうぶつ)という琵琶法師と組み、全国に人をやって史料を集め、古老に話を聞き回っているとのこと」
「フッ。軍記物作りなど表向きの理由に過ぎない。真の目的は、幕府を乗っ取るための諜報(ちょうほう)活動よ」
「おっしゃる通り!」
「朝廷連中は朝廷から国政の実権を奪った幕府を快く思っていない!捨て置けぬ!詳しく問いただすゆえ、信濃つなかりの者をとっ捕まえて連行せよ!」
「ただちに!」
こうして鎌倉幕府政所別当・北条義時(「北条氏系図」参照)の命を受けた被官・金窪行親(かなくぼゆきちか)は、同僚の安東忠家(あんどうただいえ)らとともに信濃前司行長つながりの者の探索を始めた。