3.夫ゲット

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後期高齢者(長寿)医療制度
1.高橋長者
2.人魚の肉
3.夫ゲット
4.原因発覚
5.さらば夫
6.年齢不詳
7.諸国放浪

 正体不明の肉を隠れ食べて以来、千代は鏡を見ることが多くなった。
 自分の顔を見て、しみじみと考え込むことが多くなった。
(なんで?)
 千代はわからなかった。
(あたしって、こんなにかわいかったかしらん?)
 鏡の中の自分は、確かに自分の顔である。
 何が変わったかわからないが、何かが違うのである。

 千代には好きな男がいた。
 それは、幼なじみの青年だった。名前が伝わっていないので、仮に「幼なじみα」としておく。
 幼なじみαはイケメンであった。
 読み書きもできて、漁の腕もピカイチで、里の女子どものあこがれの星であった。
 当初、幼なじみαは千代のことを何とも思っていないようであったが、最近はそうでもなさそうであった。
 そう。ちょうどあの正体不明の肉を食べてからである。
 千代はそのことに感づいていた。いつかモノにしてやろうとたくらんでいた。

 あるとき、千代は幼なじみαに聞いてみた。
「あたしって、変わった?」
 幼なじみαがうなずいた。
「なんか、おまえって若返ったよな」
「若返った?」
「うん。前は年相応に見えたけど、今は十五、六に見えるよ」
「え?え?どーゆーこと?それって、色気がなくなったってこと?」
「ううん。それが逆なんだよ。スゲーんだよ。なんていうか、こうやって面と向かって話しているのが耐えられないくらい、まぶしすぎーって感じ」
「ふーん」
 千代はほおづえをついた。
 そういえばほおの感触もぷにゅぷにゅである。
 そう。あの正体不明の肉のようであった。
「やめろよ。顔が近いよ」
 幼なじみαは顔を寄せてきた千代を避けた。
「どーして?小さいときはこのぐらいの距離でよく遊んでたよー」
「昔とは違うんだよ。今のボクには、たったった、耐えられないんだよー!」
「好きっ!」
 ぷにょ!
「やめろー!その言葉は、その感触は、理性という名のボクの最終防波堤の爆破なりー!!」
 ぶっちゅあーん!
 ぷにっ!ぷにっ!
「あれ〜!」

 いつしか幼なじみαは恋人αに、次いでダンナαに改訂(バージョンアップ)された。

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