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★ 東日本大震災
1.とりかえばや物語
2.老人と海
3.きけわだつみのこえ
4.兄弟仁義
5.こんにちは赤ちゃん

 人の一生はわずか数十年。百を超す人はごくまれである。
 それに比べて日本の歴史は長い。
 有史以来でも千数百年
(二千数百年とも)ある。
 その中で日本史上最大の災害に直面する人など、そういるものではない。
 というより、これが初めてのことである。

 平成二十三年(2011)三月十一日まで、日本人の誰もがそれを予想だにしていなかった。
 自分たちが日本史上最悪の被害額をもたらした大地震津波の「体感者」や「目撃者」になろうとは、誰一人として予測していなかったはずである。
 しかし、現に我々は、あのときの揺れを体感してしまった。
 後から思えば、今までの地震にはない不気味な揺れであった。

 人は自然にはかなわない。
 自然にかなう生物なんているはずがない。
 それでも、どんなことがあろうとも、生きるのが生物としての最低限の義務である。
 というより、生物というものは、何があっても決してめげないようにできているものである。
 津波ですべてを流された被災地にいるあまたの生物を見れば分かるであろう。
 動物もそう。鳥もそう。虫もそう。木もそう。花もそう。
 一頭も一羽も一匹も一本も一輪も、どこにもめげている生物などいないのである。
 人もそうである。
 生きている限り、無限の可能性が広がる未来が確かに存在するのである。

命だけでもあってよかった」
「アルバムだけでも見つかってよかった」
「たった一本だけど、松の木が残ってよかった
(奇跡の一本松)
 これらはすべて、国や保険会社が絶対に賠償できるはずのないものである。
 本当に必要なものが何であるかは、カネにまみれている現代人は、まず気づかないことである。
 これらに気づいた東北人は、これからの日本を引っぱっていってくれるであろう。

 どんなに強烈でも、天災は宿命であるから心配はしていない。
 問題なのは人災のほう、現在進行中の福島第一原発
(福島県大熊町双葉町)放射能漏れ事故のほうである。
 かつてアメリカと双璧
(そうへき)を成していた超大国・ソビエト連邦は、チェルノブイリ原発事故からわずか五年で滅亡してしまった。
 日本は決してソ連の二の舞になるべきではない。
 たとえ国が滅びたとしても、民までいなくなるわけではないが――。

 今年も各地で桜が咲き始めた。
 もうじき東北でも咲くであろう。
 二十年近く前、塩竈神社
(しおがまじんじゃ。宮城県塩竈市)から仙台駅(仙台市青葉区)まで歩いたことがあった。
 四月の終わり、桜が満開の季節であった。
 あのときの桜の多くは津波で流されてしまったのであろうか?
 それでも生き残った桜は、まるで何事もなかったかのように、美しく咲き誇るのである。

*          *          *

 今回は塩竈神社の祭神・塩土老翁(しおつちのおじ。塩椎神)も登場する「海幸山幸神話」を採り上げます。
 有名なので御存知と思いますが、誰一人死なない物語です
(「山岳味」の続編です)
 日本神話には下ネタが満載
(「大豆倭国味」参照)ですが、この物語にはほとんどないと思います。
 どうぞ安心してお読みください
(あっ、一、二か所ありましたわ……)

[2011年3月末日執筆]
参考文献はコチラ

「海幸山幸」登場人物

【山幸彦(彦火火出見尊)】やまさちひこ(ひこほほでみのみこと)。瓊瓊杵尊の三男。海幸彦の弟。

【海幸彦(火闌降命or火明命)
うみさちひこ(ほのすそりのみことorほあかりのみこと)。瓊瓊杵尊の次男or長男。山幸彦の兄。

【豊玉姫】
とよたまひめ。山幸彦の妃。豊玉彦の娘。

【玉依姫】
たまよりひめ。豊玉彦の娘。豊玉姫の妹。鵜葺草葺不合尊の乳母&妃。
【鵜葺草葺不合尊】うがやふきあえずのみこと。山幸彦と豊玉姫の子。

【内気そうな侍女】
豊玉姫の侍女。
【雁】


【塩土老翁】
しおつちのおじ。ナゾの老人。

【豊玉彦】
とよたまひこ。海神。豊玉姫・玉依姫の父。


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