★ 戦慄(せんりつ)! 裏切る男は呪いの餌食!? 〜 奈良時代の魔の皇后・井上内親王!! |
||||||||||||||
ホーム>バックナンバー2004>北朝鮮その他もろもろのヤミ
|
人にはヤミがある。
どんなにさわやかな人間でも、多かれ少なかれ、ヤミは存在する。
そしてそれらはしばしば、表れてしまうものである。
平成十六年(2004)五月、イラクでアメリカ軍のヤミが明るみになった。
アブグレイブ刑務所内で収容者を虐待していたことが発覚したのである。
アメリカのブッシュ大統領は、
「このことはアメリカ全体を表すものではない」
と、弁明したが、信じる者は少ないであろう。
「なんだ。アメリカ軍は、ああいうことをするんだ」
大半は、そういう冷めた目で見るであろう。
いったん表れたヤミは、すべてを覆い尽くしてしまうものである。
戦争は狂気を呼ぶ。
おごれる軍隊は、悪魔の軍団と化すものである。
「勝っているから安心」
そんな思いは、敵を押さえ込んでいる者には永久にやってこない。
「まだ敵がいるのではないか?」
「誰か裏切るのではないか?」
「スパイがいるのではないか?」
数々の不安が不安を呼び、疑心暗鬼を増幅、過度の防衛反応が過剰な攻撃となり、破壊や虐殺に麻痺(まひ)、敵を痛めつけることに快感すら覚えるようになってしまうのであろう。
一方、日本では、年金のヤミもゾロゾロと暴かれた。
福田康夫(ふくだやすお。「政権味」参照)官房長官が、自身の未納問題が発覚する直前に、
「プライバシーは守られるものじゃないですか?」
と、向きになっていたが、「プライバシー=ばれてはまずいもの」ではない。
それにしても彼の辞任という「最後っ屁(ぺ)」は見事なものであった。
結果、菅直人(かんなおと。「攘夷味」参照)民主党代表は、自分も辞めるよりほかなくなってしまった。
「閣僚から三人の年金未納者が出ました! こういうのを『未納三兄弟』っていうんですよ!」
そう言う自分も兄弟であった。
ああ、あんなことを言わなければよかった……。
口は災いの元、覆水盆に返らず、墓穴を掘り、策士策に溺(おぼ)れ、水に落ちた犬は、よってたかってたたかれてしまった……。
五月二十二日、小泉純一郎首相が拉致家族を奪還するために、ヤミだらけの国家・北朝鮮へ突入した。
結果、拉致被害者の家族の一部、五人の帰国が実現した。
でも、帰ってこなかった家族は怒り出した。首相に集中砲火を浴びせかけた。
「ウチの子はどうなってるんだ!」
「誘拐犯から身代米だけ分捕られて帰ってくるな!」
悔しいのは当然だが、首相を非難するのはおかしい。
彼は戦後の歴代首相の誰もが手を出さなかったことに取り組んでいるのである。
戦前戦中の歴代首相の後始末を、一身に請け負っているのである。
非難されるべきは、彼より前の首相たち及び外務省の面々であろう。
いったい誰が敵国へ軽装で突入し、敵の大将と一騎打ちを試みるであろうか?
小泉首相と上杉謙信ぐらいであろう(「撤退味」参照)。
だが、一騎打ちは、小泉首相の負けだった。
「経済制裁の発動はしない」
何より彼は、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が最も恐れている武器を自ら投げ出してしまったのである。
かと言って、
「やっぱり気が変わった」
と、手放した武器を再び拾えば、
「あ、卑怯(ひきょう)! 日本は約束を破った!」
北朝鮮はまた、猛烈になじるであろう(「制裁味」「攻撃味」参照)。
拉致問題は一朝一夕で解決できる問題ではない。
現在の北朝鮮は、大日本帝国の遺物である。
「天皇陛下万歳!」が「将軍様マンセー!」に替り、「鬼畜米英」が「日帝・米帝のヤツラ」に替ったぐらいのことである。
戦前の日本をよく知る方々は、北朝鮮の映像を見て狂気だとは思われる反面、懐かしさのようなものも感じられることであろう。
戦前・戦中の「日帝」の悪行により、北朝鮮は日本を嫌っているが、現在の日本に「日帝」の面影は微塵(みじん)もない。そんなものは、アメリカによってとうに抹殺済みである。
それよりも、いまだに国民の生活よりも軍国を重視し、日帝が造った鉄道で事故を起こし、日帝が残した大麻畑を大活用している北朝鮮のほうこそ「日帝の継承者」であろう。北朝鮮は日本を悪く言いながら、その実は日帝を踏襲し、日帝を目指しているとしか思えない。目指す先に何があるかを、北朝鮮は一刻も早く気付くべきである。
日本には、戦前・戦中の弱みがある。
戦後の歴代首相が拉致のことをつつけなかった理由は、そこであろう。
「拉致した人を返してくれ」
そんなことを言えば、北朝鮮は、
「そっちこそ、強制連行した人を返してくれ。補償してくれ」
と、求め返してくるに違いなかったからである。
戦中、日本は百二十万人(七十二万人とも)もの朝鮮人男女を強制連行し、炭坑や鉱山、その他軍需工場などで働かせた。うち数万人は従軍慰安婦として戦地で連れ回した。
そういう過去をほじくり返されないために、日本は北朝鮮にごく少数(連行者に比べて)の国民を拉致されても、無視し続けていたのである。
では、なぜ日本は近年になって拉致のことを騒ぎ始めたのか?
それは、強制連行の被害者の多くが、あの世の人になってしまったからであろう。
日本でも朝鮮でも、家族の思いは同じである。
「家族を返せ!」
「補償しろ!」
初めは騒がしかった強制連行被害者の声は、時の流れとともに次第に小さくなっていった。
だから北朝鮮も、それをねらっているはずである。
「早く拉致被害者の家族が、全員あの世の人になってしまいますように」
そうならない限り、国交正常化はかなわないのであろうか?
* * *
さて、今回は奈良時代のヤミ・呪詛(じゅそ)である。
奈良時代には数多くの呪術者が登場するが、今回は万葉の魔女・井上内親王(いのうえ・いのえ・いかみ・いのかみ・いがみないしんのう)を御紹介。
[2004年5月末日執筆]
参考文献はコチラ