★ 南山不落!大勝目前!大内の大軍に地団駄踏ます!!
  〜 まさかこんな結末が……。赤穴瀬戸山城の戦!!

ホーム>バックナンバー2022>令和四年12月号(通算254号)油断味 W杯カタール大会

W杯カタール大会
1.群衆の中で
2.さよなら
3.言葉にできない

 令和四年(2022)十一月、FIFAワールドカップ(W杯)カタール大会が始まった。
 森保
(もりやす)ジャパンは予選リーグでスペインとドイツという優勝候補国と同じ組になってしまったが、ドイツとの初戦終盤で二対一と逆転勝ちしてしまうという奇跡を巻き起こした。
「格下の日本に負けるはずがない」
「事実、過去にも負けたことはない」
「予定通り後半三十分過ぎまで一対〇で勝っている。このまま逃げ切れるぞ」
 ドイツの油断がジャイアントキリングを導いてしまったのであろう。

 一方、奇跡の勝利を遂げた日本も、第二戦のコスタリカ戦では油断があった。
「格上のドイツにも勝っちまった日本が、格下のコスタリカなんかに負けるはずがない」
「事実、過去にも負けたことはない」
「コスタリカはスペインに七点も取られたんだぞ。そんなコスタリカから日本が一点も取れないはずはないじゃないか」
 その結果、後半三十六分にコスタリカに唯一放たれたシュートを決められ、〇対一と惜敗してしまったのであろう。

 今月二日の第三戦は、予選リーグ最強の無敵艦隊スペイン戦である。
 後がない日本に油断はないであろうが、スペインにも油断はあるまい。
日本は要警戒だ。何しろ日本は、スペインでも勝てなかったドイツに勝っちゃってるんだからな」
 相手に油断がない以上、日本はもう実力以上の潜在能力を発揮するしかない。
 それでも、スペインの油断を誘う策がないわけではない。
日本はコスタリカに負けたんだよ。スペインが七点取って大勝したコスタリカより弱いんだよ。そんなにも弱っちい日本なんかに無敵艦隊スペインが負けるわけないじゃないか」
 このことをことさらに吹聴し続けていれば、ひょっとしてスペインも油断してくれるかもしれない。

 はい、というわけで今月号は「油断味」です。
 第一次月山富田城
(がっさんとだじょう。島根県安来市)の戦(「隆景味」参照)の前哨戦(ぜんしょうせん)で、四万人の大内軍が四千人の尼子軍に負けかけた「赤穴瀬戸山城(あかなせとやまじょう。赤穴城・瀬戸山城・衣掛城・藤釣城。島根県飯南町)の戦」をお届けします。
 ジャイアントキリングを成し遂げかけた武将は、尼子晴久に属した猛将・赤穴光清
(あかなみつきよ。赤穴右京亮・赤穴備中守)
 なのに光清は、勝てなかったどころか命を落としてしまったのです。
 いったい光清に何があったというのでしょうか?
 みなさまの人生にも様々な「戦い」があると思いますが、どんな時でも「油断大敵」は肝に銘じておきましょう。

*             *             *

 十二月二日、日本はスペインにも二対一と逆転勝ちして予選リーグを一位通過したが、十二月六日(日本時間)、決勝トーナメント一回戦でクロアチアに敗れて悲願のベスト八入りはならなかった。
「ドイツにもスペインにも勝っちまった日本が、これらより格下のクロアチアなんかに負けるはずがない」
「今回の日本は史上最強なんだ。世界も今回のダークホースは日本だって認めている」
「あらら。今まで取れなかった前半で点が取れちゃった。クロアチアって、これまでの相手の中で一番弱いんじゃね?」
 そんな油断が森保ジャパンの心の奥底にあったのかもしれない。

[2022年11月末日執筆]
[2022年12月6日追記]
ゆかりの地の地図
参考文献はコチラ

「赤穴瀬戸山城の戦」登場人物

【赤穴光清】あかなみつきよ。赤穴瀬戸山城主。尼子経久→尼子晴久の配下。

【赤穴久清】
あかなひさきよ。前赤穴瀬戸山城主。光清の父。尼子経久の配下。
【田中三郎左衛門】たなかさぶろうざえもん。尼子晴久の配下。

【熊谷信直】くまかいのぶなお。安芸高松城主。毛利元就の配下。
【熊谷信続】くまがいのぶつぐ。毛利元就の配下。信直の弟。
【荒川与三】あらかわよぞう。熊谷信続の家来。

【平賀隆宗】
ひらがたかむね。大内義隆の配下。
【吉川興経】きっかわおきつね。いちおう大内義隆の配下。

【中国地方の戦国武将たち】
【赤穴瀬戸山城の人々】
【大内軍の人々】

【毛利元就】もうりもとなり。安芸郡山城主。大内義隆の配下。

【陶隆房(晴賢)】すえたかふさ(はるかた)。大内義隆の重臣。

【大内義隆】
おおうちよしたか。周防・長門などの守護。

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