2.野獣狩り

ホーム>バックナンバー2023>令和五年2月号(通算256号)残酷味 八十神の逆恨み2.野獣狩り

ルフィ&ウ戦争新展開
1.ボクのしあわせ
2.野獣狩り
3.プレイガール
4.大追跡
5.あ・うん
6.翔んだカップル

 たくさんの兄たちは悪いことを考えた。
 ハメるため、オオクニヌシを呼びつけた。
ハハキの山で野獣狩りをするからお前もついてこい」
「野獣って何?」
「赤イノシシだ。乱暴者でみんな困っているから退治するんだ。俺たちが山の上から追い立てるから、お前が下で待ち構えていて捕まえてくれよ」
「それって危険なことじゃないの?」
「危険だけど、お前ならできるさ。何しろお前は俺たちを差し置いてヤガミヒメと結婚した勇者なんだからな。明日の朝、迎えに来るから待ってろ」
「朝はダメだね。私は新婚だから毎晩忙しいんで、翌日は昼過ぎまで寝ているんだよ〜」
「何だとコノヤロー! 一日ぐらい早く起きろよっ! いいか? 絶対にイノシシ狩りに行くんだぞっ。来ねーとぶっ殺すからなっ」
「わかったよ〜」

 翌朝、オオクニヌシはたくさんの兄たちとハハキへ出かけた。
 目的の山まで来ると、たくさんの兄たちが言った。
「今から赤イノシシを追い立てるから、お前が下で待ってて捕えろ」
「わかった」
 オオクニヌシが待ち構えていると、
 ゴロゴロゴロ〜。
 と、何かが転がってきた。
「イノシシだ!」
 オオクニヌシは飛び出していった。
 がっし!
 捕まえたが、それはイノシシではなかった。
「アッチー!」
 事前にたくさんの兄たちが真っ赤に焼いておいた岩だったのである。
「ギャー!」
 オオクニヌシは岩もろとも転がり落ちていった。
 ゴロンゴロンゴロン、じゅーじゅー! じんにくステーキ〜!
 そして、焼きつぶされて気を失ってしまった。

 たくさんの兄たちは歓喜した。
「やったー!」
「シコオは真っ赤になって焼け死にやがった!」
「ざまあみろだぜ!」
「今日からは俺がオオクニヌシだ!」
「ちがう、俺こそオオクニヌシだ!」
「そしてヤガミヒメは俺の嫁!」
「俺の嫁だって言ってるじゃないか!」
「早いもの勝ちだ!」
「待てコラ! 俺のほうが速い!」
 たくさんの兄たちは我先にとヤガミヒメのもとに駆け出していった。

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