4.大追跡 | ||||||||||||||
ホーム>バックナンバー2023>令和五年2月号(通算256号)残酷味 八十神の逆恨み4.大追跡
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たくさんの兄たちはオオクニヌシが蘇生したことに驚いた。
「何だと? ヤツは死んでいないだと?」
「信じられねー!」
「あんなに火傷していたのに」
「あんなにぺちゃんこになっていたのに」
「まあいい。生きているんならまたぶっ殺してやる」
たくさんの兄たちは再びオオクニヌシを呼びつけた。
「山に遊びに行こうよ!」
だまして山に連れて行って、大きな木のうろに閉じ込めてから、外から太いクサビで串刺しにしてあげた。
ぶすー!
「ギャー!」
オオクニヌシがひと叫びして静かになると、たくさんの兄たちは、
「ハハハ!今度こそ死んだだろう!」
「ざまあ!」
「正義は勝つ!」
喜んで帰っていった。
しかし、オオクニヌシは死んでいなかった。
クサビが急所から外れていたのである。
「キャー! 何てこと〜!」
オオクニヌシは再びサシクニワカヒメに助け出された。
そしてまたキサガイヒメとウムガイヒメによる「儀式」で助けられた。
べたべた!ぬりぬり!
「元気になーれ!」
「元気になーれ!」
ちんちんぷいぷい! むくむくっ、どっかーん!!
「元気になったー!!」
再び復活したオオクニヌシにサシクニワカヒメが勧めた。
「おまえがここにいると、アイツラに殺されてしまいます。木の国に逃れなさい」
木の国は後の紀伊、現在の和歌山県である。
オオクニヌシは言う通りにした。
木の国の王、オオヤビコ(イタケル)にかくまってもらうことにした。
が、たくさんの兄たちは、木の国までも追いかけてきた。
「シコオ、ここに来ただろ?」
「ここにいるのはわかっているんだ! シコオを出しやがれ!」
「かくまってると、貴様も一緒にぶっ殺すぞ!」
たくさんの兄たちに弓で脅されたオオヤビコは困惑した。
木の股に隠していたオオクニヌシに伝えた。
「ここにいるのは危ない。私の父を頼りなさい」
「貴殿の父とは?」
「スサノオです。ここより父がいる根の国に逃れたほうがいい」
オオクニヌシはそうすることにした。