★ 万世一系大崩壊!? ついに庶民が即位に王手をかけた! 〜 愛のためなら天皇にもなれる!? 仰天! 道鏡皇位事件!! |
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今回の味付けについて、私は迷った。
blog「古今チップス(後の「歴史タイムッス」)」に味付けの候補は列挙しているが、その中で最後まで残ったのが「女帝味」と「大根味」であった。
「女帝味」か「大根味」か?
味付けには迷っていたが、内容は確定していた。
「女帝味」であれば、女帝論争+道鏡皇位事件。「大根味」であれば、ど根性大根+沢庵宗彭(たくあんそうほう)のつもりであった。
「女帝味」というのも変なものであるが、かといって通算五十号の節目となる今回に「大根味」はないであろうと思い「女帝味」に決めた次第である。
こう書くと私が「大根」をバカにしているように思われるかもしれないが、そうではない。
「女帝」がクイーン(女性のキング)であるのと同様、「大根」は野菜のキングである。これだけとっても「大根」は決して「女帝」に劣っているとは思えない。
が、「大根」にはお笑い種なイメージがある。
「大根足」「大根役者」など、辞書に載っている大根付きの言葉にはろくなものがない。
「大根」そのものですら、先月(2005年11月)話題になった兵庫県相生市の「ど根性大根」のように、ただ道端で生えているだけで笑われ、励まされ、おもちゃにされる始末なのである。
でも、思い出して欲しい。
グツグツ煮立ったおでんの中の大根を。
その圧倒的なうまさに、極楽昇天大宇宙を感じたことがある方は、私一人だけではないであろう!
そう。並み居る強豪味付け候補者たちをなぎ倒し、最後まで「女帝」と堂々と渡り合った偉大なる「大根」に、私は敬意を表したかっただけなのである。
* * *
万世一系――。
永久に同一の系統が続くことをいう。
天皇家は日本(ヤマト政権・大和朝廷)建国以来二千数百年間(この期間はどうかと思うが……)、綿々とこれを守り続けてきたといわれている。
その天皇家が今、皇統断絶の危機にさらされている。
皇室に関する法律「皇室典範」の第一条にはこうある。
皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。
つまり、平成十七年(2005)十一月現在の法律では「皇族男子から出生した男子」しか天皇になれないわけである。
また、同法第二条には皇位継承順が記されている。
1.皇長子
2.皇長孫
3.その他の皇子孫
4.皇次子及びその子孫
5.その他の皇子孫
6.皇兄弟及びその子孫
7.皇伯叔父及びその子孫
※ 以上にない場合は最近親の皇族
※ 同等資格では年長順
同法に照らすと、平成十七年十一月現在の皇位継承順は以下の通りになる。
第1位 | 徳仁親王 | (なるひとしんのう) | 皇太子。 | 今上天皇第一皇子。 | 2005年45歳 |
第2位 | 文仁親王 | (ふみひとしんのう) | 秋篠宮。 | 今上天皇第二皇子。 | 2005年40歳 |
第3位 | 正仁親王 | (まさひとしんのう) | 常陸宮。 | 昭和天皇第二皇子。 | 2005年70歳 |
第4位 | 崇仁親王 | (たかひとしんのう) | 三笠宮。 | 大正天皇第四皇子。 | 2005年90歳 |
第5位 | 寛仁親王 | (ともひとしんのう) | 三笠宮。 | 崇仁親王第一皇子。 | 2005年59歳 |
これを見ると、誰でも気付くであろう。
「あれ?
中高年の方ばかりだね」
そう。若い男子がいないということは、将来、皇位継承者がいなくなってしまうかもしれないわけである。
そのため、
「『女性天皇』を認めてもいいのではないか」
という意見が出始めた。
「女性天皇」を認めると、皇位継承順はガラリと変わり、年齢層も若返る。
第1位 | 徳仁親王 | 皇太子。 | 今上天皇第一皇子。 | 2005年45歳 |
第2位 | 愛子内親王 | (あいこないしんのう) | 徳仁親王第一皇女。 | 2005年4歳 |
第3位 | 文仁親王 | 秋篠宮。 | 今上天皇第二皇子。 | 2005年40歳 |
第4位 | 真子内親王 | (まこないしんのう) | 文仁親王第一皇女。 | 2005年14歳 |
第5位 | 佳子内親王 | (かこないしんのう) | 文仁親王第二皇女。 | 2005年11歳 |
しかし「女性天皇」を認めたとしても、その後が続かないことには変わりはない。
そのため、
「『女系天皇』も認めてもよいのではないか」
という意見も出始めた。
つまり、天皇家に婿入りを認め、生まれた子も皇族にしようとする案である。
が、日本史上「女性天皇」は八人十代存在するが「女系天皇」の前例は皆無である。
● 日本の女性天皇 | |||
代数 | 天皇名(名前) | 生没年 (在位) |
父 母 |
33 | 推古天皇 (額田部皇女) |
554-628 (529-628) |
欽明天皇 蘇我堅塩媛 |
35 | 皇極天皇 (宝皇女) |
594-661 (642-645) |
茅渟王 吉備媛王 |
37 | 斉明天皇 | (655-661) | (皇極と同一人物) |
41 | 持統天皇 (讃良皇女) |
645-702 (690-697) |
天智天皇 蘇我遠智娘 |
43 | 元明天皇 (阿閉皇女) |
661-721 (707-715) |
天智天皇 蘇我姪娘 |
44 | 元正天皇 (日高皇女) |
815-863 (715-724) |
草壁皇子 元明天皇 |
46 | 孝謙天皇 (阿倍内親王) |
718-770 (749-758) |
聖武天皇 藤原光明子 |
48 | 称徳天皇 | (764-770) | (孝謙と同一人物) |
109 | 明正天皇 (興子内親王) |
1623-1696 (1629-1643) |
後水尾天皇 徳川和子 |
117 | 後桜町天皇 (智子内親王) |
1740-1813 (1762-1770) |
桜町天皇 二条舎子 |
もう一つ意見がある。
「旧皇族を皇族に復帰させてはどうか?」
という案である。
「それでは国民は納得しない」
という人もあるが、旧皇族天皇の前例は存在する。
伝五十九代・宇多天皇は、いったんは源姓を与えられて臣下に下ったものの、その後皇族に呼び戻されて即位しているのである(「スト味」参照)。
平成十七年(2005)十一月二十四日、「皇室典範に関する有識者会議(吉川弘之座長)」が女性天皇・女系天皇容認を支柱とする最終報告案を小泉純一郎首相に提出した。
これに対し小堀桂一郎(こぼりけいいちろう)皇室典範問題研究会代表や渡部昇一(わたなべしょういち)皇室典範を考える会代表らが反発、政府に慎重な対応を求めた。
天皇家には、かつて古墳時代と奈良時代と江戸時代に三度の皇統断絶の危機があった。
その時はいずれも遠縁の男系天皇を立てることで決着しているのである(ただし、新皇統の男子には旧皇統の女子をめあわせているので、女系とも見て取れる)。
女系天皇論者は、それを認める根拠として「男女平等」を挙げるが、もともと「差別的特権階級」である皇族に、そんなものは存在しないはずである。
もし、存在するとすれば、当然「第一子優先」という差別事項も撤廃すべきであろう!
第一子が皇位を継承するようになったのは「皇室典範」以後である。それまでは決して第一子が優先だったわけではない。神武天皇(第四子)、天智天皇(第二皇子?)、天武天皇(第三皇子?)、持統天皇(第二皇女)、桓武天皇(第二皇子)、後白河天皇(第四皇子)、後鳥羽天皇(第四皇子)、後醍醐天皇(第二皇子)、明治天皇(第二皇子)などなど、後世に名をとどろかせている彼らはいずれも第一子ではなかった!
兄(姉)がいるにもかかわらず、皇位を継承している弟(妹)が多々あるのである!「男女平等」を唱えるのであれば、もとより「男男間」も「女女間」も平等にすべきではないのか!
前例のない「女系天皇」を認めるか?
前例のある「旧皇族天皇」を認めるか?
奈良時代、現在よりもう一つハードルの高い次元で争われた事件があった。
前例のない「庶民天皇」を認めるのか?
あくまで「皇族天皇」を貫くのか?
で、争われた「道鏡皇位事件(宇佐八幡神託事件)」である。
このことは決して過去の話ではない。
将来再び、十分に起こりうる論争であろう!
* * *
平成十八年(2006)九月六日、悠仁親王(ひさひとしんのう。秋篠宮文仁親王第一王子)が誕生、常陸宮正仁親王を越えて皇位継承順第三位となった。
[2005年11月末日執筆]
[2006年2月一部改正]
[2006年11月加筆]
参考文献はコチラ
【 道 鏡 】どうきょう。法王。義淵・良弁の弟子。
【孝謙(称徳)天皇】こうけん(しょうとく)てんのう。伝四十六・八代天皇。
【弓削浄人】ゆげのきよひと。大納言・大宰帥。道鏡の弟。
【高麗福信】こまのふくしん。法王宮職大夫。道鏡の側近。
【基 真】きしん。法参議。円観の弟子。道鏡の側近。ゲイ。
【藤原永手】ふじわらのながて。左大臣。北家当主。
【吉備真備】きびのまきび。右大臣。人間百科事典。
【藤原仲麻呂】ふじわらのなかまろ。恵美押勝。大師。
【美少女H】仲麻呂の娘。藤原額か東子のこと。
【 鑑 真 】がんじん。唐僧。日本律宗の祖。
【中臣習宜阿曽麻呂】なかとみのすげのあそまろ。大宰主神。
【路 豊永】みちのとよなが。儒者。通りすがりの老人。
【公卿たち】
【役人たち】
【孤児たち】
【藤原宿奈麻呂(良継)】ふじわらのすくなまろ(よしつぐ)。非参議。雄田麻呂の弟。
【藤原雄田麻呂(百川)】ふじわらのおだまろ(ももかわ)。左中弁。宿奈麻呂の弟。
【法均尼(和気広虫)】ほうきんに(わけのひろむし)。清麻呂の姉。
【和気清麻呂】わけのきよまろ。近衛将監。宇佐使。法均尼の弟。