2.播磨稲日大郎姫×武内宿祢

ホーム>バックナンバー2022>令和四年1月号(通算243号)火元味 日本武尊の出雲征討2.播磨稲日大郎姫×武内宿祢

大阪ビル放火&台湾有事
1.景行天皇×八坂入姫命
2.播磨稲日大郎姫×武内宿祢
3.日本武尊×五百城入彦命

 景行天皇の大后(皇后)は、播磨稲日大郎姫である。
 彼女は大碓命
(おおうすのみこと。「皇族味」参照)や小碓命らを生んだが、今では夫の寵愛(ちょうあい)は、五百城入彦命らを生んだ妃・八坂入姫命に移っていた。
「おもしろくないわ。アンナノのどこがいいのかしらね」
 伝説の忠臣・武内宿祢が慰めた。
「自信をお持ちくださいませ。しょせん、あちらは格下の妃です。正妻である大后はあなたさまなのです」
「では、王位を継ぐのは私の子ですか?」
「そうとは限りません」
「小碓は乱暴すぎるので王位は無理だと申したいのですね?」
「そうではありません。個人的にはあのくらいの方のほうが大王にはふさわしいと存じております。あの方と比べると、五百城さまは人が良すぎます」
「では、臣は小碓の味方になってくれるのですね?」
「今や小碓さまはヤマトも併呑
(へいどん)する勢いです。臣に限らず、強い方になびくのは世の常でしょう」
「頼みますよ」
「しかし、戦には勝てても、国を治められなければ意味はありません。統治能力がなければ、大王にはなれてもすぐに失脚してしまいます」
「その点は臣が支えてあげればいいではないですか」
「ですか」
「なんなら臣が大王になってもいいのですよ」
「!」
「臣ももともとは大王の孫ではありませんか」
「……。フフフ、滅ぼされた大王のですけどね」

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