77.海難味 基礎用語集

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安政の五か国条約
 1858日本が欧米五か国(米・蘭・露・英・仏)に強制的に結ばされた修好通商条約。箱館(はこだて。後の函館)・兵庫・神奈川・長崎・新潟開港などを定めた。日本には関税自主権がなく、五か国に領事裁判権を認めた。

イギリス(Inglez)=英国(えいこく)=グレート・ブリテン及び北アイルランド連合王国
 ヨーロッパにある国。紀元前七世紀頃にケルト人が先住民を駆逐し、五世紀頃からアングロサクソン人がイングランドを制圧、グレートブリテン島ほかを領有し、1588スペインの無敵艦隊を撃破、1600東インド会社を設立し、世界へ植民地を拡大、十八世紀にいち早く産業革命を成し、十九世紀には大英帝国として全盛期を誇った。現在の首都はロンドン。
英国味

江戸幕府(えどばくふ)=徳川(とくがわ)幕府
 (1603-1867) 江戸時代の武家政権。1603徳川家康(とくがわいえやす)が征夷大将軍(せいいたいしょうぐん)に任命されたことに始まる。徳川氏が代々将軍に就任、老中(ろうじゅう)が政務を統括し、臨時に大老(たいろう)が置かれた。1867十五代将軍・徳川慶喜(よしのぶ)が朝廷に大政奉還(たいせいほうかん)、1868-1869戊辰(ぼしん)戦争をへて旧幕府勢力は解体した。

王政復古(おうせいふっこ)≒王政復古の大号令≒王政復古の政変≒王政復古のクーデタ
 1867薩長などの討幕派が王政復古の大号令を発して天皇を中心とする新政府を樹立し、江戸幕府を廃止した政変のこと。

御雇外国人(おやといがいこくじん)
 幕末〜明治時代に欧米の政治・文化を吸収するために政府が雇った外国人。英のミルンやキンドルやアトキンソン、米のクラークやマレーやモース、独のロエスレルやモッセやベルツやメッケル、仏のボアソナードなどが有名。

開国≒開国和親(かいこくわしん)
 外国との交流を認め、仲良くしようとする思想。

関税自主権(かんぜいじしゅけん)
 関税率を自主的に決められる権利。日本は1858日米修好通商条約など安政の五か国条約により欧米列強に対してこの権利を喪失、明治政府の条約改正交渉により、1894外相・陸奥宗光(むつむねみつ)が一部回復し、1911外相・小村寿太郎(こむらじゅたろう)が完全に回復した。

神戸(こうべ)≧兵庫(ひょうご)
 現在の兵庫県神戸市。県庁所在地・政令指定都市。起源は奈良時代に行基(ぎょうき)が開き、平安時代末期に平清盛(たいらのきよもり)が拡張した摂津大輪田泊(おおわだのとまり)。中世に日宋・日明貿易で発展し、1858安政の五か国条約によって開港が約束され、1867開港、日本有数の貿易港に発展し、阪神工業地帯の中核となった。

薩摩藩(さつまはん)鹿児島藩(かごしまはん)
 江戸時代に九州南端にあった藩。外様。藩主は島津(しまづ)氏。石高は六十一万石→七十三万石(内高八十七万石)。1609島津家久(いえひさ)が幕府の許可を得て琉球(りゅうきゅう)を併合するが、1753宝暦治水事件・1808近思録崩れ(きんしろくくずれ)などで財政は窮乏、調所広郷(ずしょひろさと)の天保改革で再建し、島津斉彬(なりあきら)は洋式軍政・藩営事業を推進、幕政にも加わり、島津久光(しまづひさみつ)は雄藩連合を構想、1862英国人に対して生麦事件を起こすが、1863薩英戦争で報復されて攘夷を断念、西郷隆盛(さいごうたかもり)・大久保利通(おおくぼとしみち)らが活躍し、1866長州藩と連携(薩長連合)、1868-1869戊辰戦争で旧幕府軍を破り、明治政府の中心勢力になった。

自衛隊(じえいたい)
 (1954-) MSA協定(日米相互防衛援助協定)により、保安隊と警備隊を改組して発足した日本の防衛組織。防衛庁に所属する陸上・海上・航空自衛隊の三隊。内閣総理大臣の統率のもと防衛庁長官(2007〜防衛相)が隊を総括。

四民平等(しみんびょうどう)
 明治政府が改革した身分政策。1869士農工商を廃止し、華族(公卿・大名)・士族(武士)・平民(農工商)に再編成、1871身分開放令を発して穢多(えた)・非人を平民として開放したが、身分差別は後々まで残った。

殖産興業(しょくさんこうぎょう)
 生産を増やし、産業を興すこと。明治政府の基本政策の一。富岡製糸場など官営模範工場の造営、内国勧業博覧会の開催などがその例。

清(しん)
 (1616-1912) 近世〜近代の中国の王朝。1616太祖ヌルハチが女真族を統一して後金(ごきん)を興し、二代太宗ホンタイジが国号を清と改称、三代世祖順治帝が北京を攻略して首都となし、中国を統一したが、1840アヘン戦争を機に諸外国に侵食され、1894-1895日清戦争で日本に敗北、1911辛亥(しんがい)革命が起こり、1912宣統帝溥儀(ふぎ)の退位によって滅びた。

攘夷(じょうい)≒攘夷論
 外国勢力を排斥しようとする思想。

大東亜共栄圏(だいとうあきょうえいけん)
 太平洋戦争中に日本がアジア支配を正当化させるために唱えた標語。

地租改正(ちそかいせい)
 1873地租改正条例により明治政府が行った土地・租税改革。土地台帳を作成し、地租(土地に対する金納税)税率を三パーセントと制定、これによって政府財政は安定したが、農民の負担は減らず、各地で地租改正反対一揆が頻発、1874政府は税率を二・五パーセントに軽減せざるを得なかった。

長州藩(ちょうしゅうはん)萩藩(はぎはん)
 江戸時代に本州西端にあった藩。外様。藩主は毛利(もうり)氏。石高は三十七万石(内高七十一万石)。1831防長大一揆を機に村田清風(むらたせいふう)が藩政改革を行い、吉田松陰(よしだしょういん)・高杉晋作(たかすぎしんさく)・木戸孝允(きどたかよし)・大村益次郎(おおむらますじろう)らを輩出、1863朝命を受けて攘夷を決行(外国船砲撃事件)するが、1864四国連合艦隊に下関を砲撃されて転向、第一次長州征討で幕府に屈服するが、1865第二次長州征討では撃退、1866薩摩藩と結び(薩長連合)、1868-1869戊辰戦争で旧幕府軍を撃破、明治政府の中心勢力になった。

鉄道開通(てつどうかいつう)
 1872新橋〜横浜間に日本初の鉄道が開通したこと。イギリス人モレルの指導により、イギリスから借金して大隈重信(おおくましげのぶ)・伊藤博文(いとうひろぶみ)らが開設した。

日本(にほん・にっぽん・やまと)
 東アジアにある国。古くは倭(やまと)と呼ばれたが、天武天皇の頃(七世紀後半)に改め、八世紀からは国際的にも使用するようになった。1889大日本帝国憲法制定により「大日本帝国」になるが、1946日本国憲法公布により「日本国」となった。現在の首都は東京。

ノルマントン号事件(のるまんとんごうじけん)
 英国貨物船・ノルマントン号が沈没したことによる一連の事件。1886ノルマントン号は神戸を目指して横浜を出航、紀伊半島沖で難破するが、イギリス人ほか外国人乗員は全員脱出し、日本人乗客二十五名(または二十三名)は全員溺死(できし)した。領事裁判により船長ドレーク以下全員が無罪とされたが、国民の反発により船長だけが禁錮三か月と改められた。
海難味

廃刀令(はいとうれい)
 1876明治政府が大礼服着用者・軍人・警官以外の帯刀を禁止した法令。これにより、不平士族の反乱が頻発した。

富国強兵(ふこくきょうへい)
 国を富ませ、兵力を強化すること。明治政府の基本政策の一。

武士(ぶし)=侍(さむらい)=武者(むしゃ)
 武芸をおさめて軍事にたずさわった者。

不平等条約(ふびょうどうじょうやく)
 強国が弱小国に対して強制的に結ばせた対等ではない条約。日本は1858日米修好通商条約など安政の五か国条約で、欧米列強に対する領事裁判権(治外法権)を認め、関税自主権を喪失した。

文明開化(ぶんめいかいか)
 世の中が開けて便利になること。特に明治初年の近代化や欧化主義の風潮をいう。

明治維新(めいじいしん)
 江戸幕府による封建体制から、明治新政府による近代国家形成の契機になった一連の政治的・社会的改革。ペリー来航による開国から、大政奉還・王政復古の大号令・戊辰(ぼしん)戦争・五箇条の御誓文・東京遷都・版籍奉還・廃藩置県・徴兵令・四民平等・秩禄(ちつろく)処分・地租改正・郵便制度創設・鉄道開通・殖産興業・文明開化・新貨条例などを経て、西南戦争までをいうことが多い。

郵便制度(ゆうびんせいど)
 1871前島密(まえじまひそか)の発案で、まず東京〜大阪間に国営事業として発足した通信制度。

横浜(よこはま)
 現在の神奈川県横浜市。県庁所在地・政令指定都市。近世までは漁村。1858日米修好通商条約により、1859東海道沿いの神奈川を避けて開港。生糸の輸出など幕末貿易の八割を占め、維新後も文明開化の窓口として繁栄、日本一の国際貿易都市・日本第二の大都市に発展し、京浜工業地帯の中核となった。

領事裁判権(りょうじさいばんけん)≦治外法権(ちがいほうけん)
 治外法権の一つで、外国人の裁判はその本国の領事が行う権利。治外法権は外国ではその国の裁判権に支配されない権利。日本は1858日米修好通商条約など安政の五か国条約により欧米列強に対してこの権利を認めさせられ、明治政府の条約改正交渉により、1894〜1897外相・陸奥宗光(むつむねみつ)が廃止に成功した。

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