4.朝の挨拶 | ||||||||||||||
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居留地に住んでいたアメリカ人が新しい日本語を教わった。
「日本では、朝の挨拶は『オハヨー』といいます」
アメリカ人は覚えた。
「フーン、母国ノ州ノ名前(オハイオ州)ト同ジデ覚エヤスイネ」
ある朝、アメリカ人は散歩の途中で日本人の知人に出会った。
アメリカ人は朝の挨拶を覚えたことを思い出した。
(ソーダ!サッソク日本語デ挨拶シテミヨー)
アメリカ人は挨拶しようとしたが、ど忘れした。
「母国の州の名前」ということは覚えていたが、どの州だったかすっかり忘れてしまっていた。
(エーイ、アテズッポウデ言ッテヤレ)
アメリカ人は勇気を出して挨拶した。
「ニューヨーク!」
日本人の知人はきょとんとしていた。
アメリカ人は失敗に気が付いた。
(コレハチガウヨウダ)
アメリカ人は言い直した。
「バーモント!」
「……」
反応がなかったため、片っ端から言い直した。
「マサチューセッツ!」
「アイオワ!」
「コネチカット!」
「オクラホマ!」
「ニューシャージー!」
ものの見事に全部外れた。
日本人の知人は、凍りついたような苦笑いになって去っていった。