1.長慶上皇×後亀山天皇 | ||||||||||||||
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三種の神器 |
鏡 … 八咫鏡(やたのかがみ) 剣 … 草薙剣(くさなぎのつるぎ。天叢雲剣) 玉 … 八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま) |
「弟よ」
「何ですか?」
「何をしている?」
「連歌の準備ですけど」
「政治は?」
「終わりました」
「軍事は?」
「部下に丸投げです」
「アホか!おまえは日本で唯一の正統な皇統の当主だぞ!おまえが先頭を切って北のニセ王朝(北朝)と戦争しろよ、戦争!」
「嫌です。血が流れる戦争なんて野蛮です。連歌や能の方が楽しいですよ」
「楽しんでいられるのは国を守れているからではないか!ニセ王朝をたたかなければ平和が訪れることはない!北の将軍(足利義満)は山名の大乱(明徳の乱。「戦争味」など参照)平定で疲れている!今こそ京都奪還の絶好機であろう!」
「これまで我が皇統は四度京都を奪還しています。しかしその度に北に奪い返されました。今回もまた同じ結果になるだけです。人生は短いのです。貴重な時間を戦争という無駄の繰り返しに使いたくありません」
「わかった。どうやらおまえとの論争こそが無駄のようだ」
「私もそう思っていました。無駄話より連歌の準備準備〜」
「俺は帝に復位する。おまえに戦争する気がないのなら、俺が重祚(ちょうそ)してニセ王朝と戦う!」
「え!」
「印璽(いんじ。天皇印と国印)を返せ。三種の神器も耳をそろえて差し出せ」
「ってことは、荘園群とかは〜?」
「もちろん俺が没収だ」
「え〜! それじゃあ趣味するカネがなくなっちゃうよ〜」
「仕方がないじゃないか! 嫌ならちゃんと国を守れよっ!」
「戦争も嫌や〜」
「甘ったれるな! 二者択一だ! 帝を続けたければニセ王朝と戦え! 戦いたくなければ帝位を返せ!」
「そんな〜」
「一か月待ってやる。その間にどちらかを選べ」
「ううう、困った〜。戦争せずに趣味を続けられる方法はないのか〜」