3.小早川隆景×問田大方

ホーム>バックナンバー2022>令和四年4月号(通算246号)隆景味 小早川家乗っ取り3.小早川隆景×問田大方

大波三兄弟と毛利三兄弟
1.小早川正平×田坂義詮
2.大内義隆×毛利元就
3.小早川隆景×問田大方
4.田坂義詮×日名内玄心

「え? え? ここはどこ?」
「ようこそ、我が家へ」
「だ、だれ?」
小早川隆景でーす」
「はあ? うちも小早川だけど、あんたなんか知らないわよ!」
「知らないでしょうね〜。君は沼田小早川家の亡き当主・正平の娘。俺は竹原小早川家の当主だから」
「竹原の当主
(小早川興景)は死んじゃったって聞いているわ」
「だから〜、その後で俺がよそからやってきて、竹原の当主に収まったの」
「ふーん。そんなことより、うち、さっき、いきなり拉致られたんだけど」
「ですか」
「とぼけないでよ! ここはあんたんちでしょ? あんたが拉致ったんでしょ?」
「知らねえな。俺が家に帰ってきたら、すでに長櫃
(ながびつ)が置いてあった。ふたを開けたら中から君が出てきたってわけだ。おそらく、俺のオヤジの手の者が拉致って送り届けてきたんだろう」
「何のために?」
「君を俺の嫁にするために。――ほら、長櫃のふたに『小早川隆景の嫁在中』って書いてある」
「え!? あんたのオヤジって、誰よ?」
毛利元就
毛利元就! 私のお父さんやお兄ちゃんを長年いじめ続けてきた悪党ねっ! いやっ! 誰がそんな息子の嫁なんかになるもんですかっ!」
「俺の父には反抗しないほうがいいよ。すっごい恐ろしい人だから」
「しつこくイジワルを繰り返す執念深い怖い人だってことはわかっているわ」
「ここは発想の転換だよ。毛利元就を敵だと思い込んでいるから怖いんだ。味方だと思えば、こんなに頼もしい人はいないよ」
「何を言っているのか意味がわからないわ」
毛利元就の味方になっちゃいなよ」
「はあ?」
「俺の嫁になっちゃいなよ」
「!」
「なっちゃえ! なっちゃえ!」
「こんなノリ、いややー!」
「めでたしめでたし」
「めでたくねぇー!」

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