ホーム>バックナンバー2018>1.アイツの弱点見つけた
藤原輔公 PROFILE |
【生没年】 |
?-? |
【出 身】 |
平安京?(京都府京都市)
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【本 拠】 |
平安京→大和国宇陀郡(奈良廉宇陀市) |
【職 業】 |
官人 |
【役 職】 |
木工頭→(大和守)
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【位 階】 |
→従四位下 |
【 父 】 |
藤原清通 |
【 子 】 |
藤原成経・善経・頼宣・定房・教任 |
大和守・藤原輔公(ふじわらのすけきみ)は困っていた。
どうしても税を納めてくれない、やっかいな滞納者がいたからである。
やっかいな滞納者の名は、藤原清廉(きよかど)――。
(何が清廉(せいれん)だ!逆だ逆!欲の塊そのものじゃないか!)
清廉は山城・大和・伊賀三国に荘園群を持つ大富豪である。
(『金持ち金使わず』っていうけど、納税はしてくれよな)
清廉は輔公が大和守として赴任して以降、一度も納税してくれなかった。
(わしの任期は今年限りだ。任期が切れてからでは、永久に徴収できなくなる)
だからといって、検非違使庁(けびいしちょう)に訴えるわけにもいかない。清廉は長く大蔵官僚を務めていたため、中央に顔が利くのである。功により五位を与えられ、大夫と呼ばれていた有力者なのである。
(だから自力で徴収するしかないのだ)
その方法が思いつかなかった。
(どうすればいいんだ?)
輔公が考えていると、部下の大和大掾(やまとのだいじょう)が聞いてきた。
「どうなさいました?」
「うん。やっかいな滞納者から、どうやったら税を徴収できるか考えていたんだよ」
「やっかいな滞納者とは、大蔵大夫・藤原清廉さま?」
「そうだ」
「ププッ!」
「何がおかしい?」
「ちょっと、あの方の弱点を思い出しまして」
「弱点?」
「ええ、それが、あの方には、笑っちゃう弱点があるんですよ」
「どんな弱点だ?」
大和大掾は耳元でコショコショ教えてあげた。
輔公は驚いた。
「マジか!」
「マジっす」
輔公は、いいことを思い付いた。
「ならば、その弱点を責め立てて税を徴収すればいいだけのことだ」


