ホーム>バックナンバー2022>令和四年10月号(通算252号)併合味　ハーグ密使事件２．ダークシステム

　第二回ハーグ万国平和会議に高宗が密使を派遣したのを知った韓国統監・伊藤博文はほくそ笑んだ。
「韓皇め。とうとうシッポを出しよった」
　韓国駐留軍司令官・長谷川好道も喜んだ。
「韓皇は私らの悪口は言ってたようですが、これまでは確固とした『謀反』の証拠がありませんでしたからね〜」
「韓皇の密使はロシア経由でハーグに向かったそうだ。ロシアはまだ韓国の味方だと思っているのかな？」
「でしょうね。連中の動きは筒抜けなんですが」
「ハーグに着いても連中の味方は誰一人いない。どの国も日本を敵に回そうとは思うまい。列強ですら、清にもロシアにも勝っちまった我が帝国にたてつこうとは思うまい。ハハハ！ 連中が会議から閉め出される様子が目に浮かぶようだ！」
「ハーグでは誰が連中を監視するんですか？」
「都筑馨六特命全権大使が万事対応することになっている」