ホーム>バックナンバー2009>チェンジなオバマとブレる麻生

　平成二十一年(2009)一月二十日(日本時間二十一日)、アメリカで第四十四代オバマ(Barack Obama)大統領が誕生した。
「チェンジ！イエス、ウィー、キャーン！」
　彼のわかりやすい演説は、アメリカ国民を熱狂させた。

　反面、オバマ大統領がアメリカ史上初のアフリカ系大統領であることや、その「変革」に対して抵抗勢力があることも事実である。
「もしや暗殺されるかも」
　そんな声もあるが、彼に始まった話ではない。たとえ殺されなくとも、人はいつか死ぬものであり、いつ死ぬか分からぬものであり、偉人であろうが凡人であろうが何人もこのことを常に意識して生きていくべきなのである。大切なことは死を恐れることではなく、生きているうちに成すべきことを成すことであろう！

　アメリカ経済再生！
　中東和平！
　温暖化対策参加！
　核兵器廃絶！

　おおいにやってもらいたいものである。
　とにかく、アメリカ経済が立ち直らないことには、日本経済に将来はない。今はオバマ大統領の「変革」に期待するしかないであろう。

　栄えるものはいつか滅びるものである。
　将来、アメリカが世界一の経済大国から陥落する時が必ず来るであろう。
　が、そのときアメリカは、鮮やかに「豹変(ひょうへん)」すると思われる。アメリカという国は、日本よりもはるかに柔軟である。日本は振り落とされないよう、今から用心しておくべきである。

　一方、日本の麻生太郎(あそうたろう)首相も「チェンジ」である。
　こちらのチェンジは前言がコロコロ変わることであり、人はこれを「ブレる」と呼んでいる。
「ブレてねーよ！」
　当人は激しく否定しているが、多くの国民が悲涙していることであろう。
　そもそも彼がブレていなければ、定額給付金問題で二転三転することはなく、消費税増税問題も玉虫色ではなく、白黒はっきりできたはずである。

　それにしても、麻生首相は何かしら損をしているように思えてならない。
　変節が悪いことでないことは、すでに「変節味」で述べているが、漢字が読めなかろうが、ブレていようが、もっとひどかろうが、とやかくいわれなかった為政者は過去にいないわけではないのである。
　近現代人の中にあえてそのたとえを出さないが、歴史上の人物としては、豊臣秀吉がその代表格であろう。
「漢字読めなーい」
　しかし、秀吉が麻生首相と違うところは、その場をごまかす才能があったことである。「花見味」でも紹介したが、
「ダイゴジ(醍醐寺)の『ダイ』はどんな漢字でしたっけ？」
　と、聞かれて、
「『大』と書いておけ」
　と、答えるユーモアがあったのである。
　ところが、今の麻生首相にはそういうものがない。先月の施政方針演説も実につまらないものであった。首相になる以前の彼にはもっと面白味があったが、失言を恐れているがために、それを出せなくなってしまったのであろう。

　一方、ブレるほうも秀吉は天下一品であった。
　そこで今回は、秀吉がブレまくった小田原攻め(小田原征伐・小田原の役・小田原の陣)でのあの逸話を紹介したい。
　小田原攻めは長陣のため、逸話の宝庫であるが(「世界で一番大きな歌」の逸話も「芸人味」で紹介した)、戦国マニアの方はすでにお気づきであろう。
「秀吉がブレてる話といえばアレだな！アレしかない！」
　そうである。
　今回は豊臣秀吉vs花房職之(はなぶさもとゆき。当時は職秀)である。

[2009年1月末日執筆]
参考文献はコチラ

「豊臣秀吉、ブレる！ブレる！」登場人物

【豊臣秀吉】とよとみひでよし。関白太政大臣。摂津大坂城主。

【徳川家康】とくがわいえやす。権大納言。遠江浜松城主。
【前田利家】まえだとしいえ。参議。加賀金沢城主。

【黒田孝高(如水)】くろだよしたか(じょすい)。秀吉の知恵袋。
【千　利休】せんのりきゅう。茶人。秀吉の側近。天下一の宗匠。
【古田織部(重然)】ふるたおりべ(しげてる)。茶人・武将。利休の弟子。
【楠木正虎】くすのきまさとら。秀吉の右筆。楢村玄正の父。

【宇喜多秀家】うきたひでいえ。参議。備前岡山城主。職秀らの主君。

【本陣の番人】
【諸将たち】
【女子供たち】
【石垣山城の人々】

【楢村玄正】ならむらはるまさ。秀家の家臣。楠木正虎の子。

【宇喜多詮家(坂崎直盛)】うきたあきいえ(さかざきなおもり)。秀家の家臣。備前富山城主。
【戸川達安】とがわみちやす。秀家の家臣。備中常山城主。
【長船綱直】おさふねつななお。秀家の家臣。備前虎倉城主。
【花房正幸】はなぶさまさゆき。秀家の家臣。職秀の従兄弟おじ。備中虫明城主。

【花房職秀(職之)】はなぶさもとひで(もとゆき)。秀家の家臣。美作荒神山城主。