歴史チップス>バックナンバー2023>令和五年11月号(通算265号)牛虎味　日本シリーズは猛牛vs猛虎

　令和五年(2023)十月、大リーグでは大谷翔平(おおたにしょうへい)選手が日本人初の本塁打王に輝いた(「二刀味」「英雄味」「鼓舞味」参照)。
　小リーグ――、もとい、日本のプロ野球では、セ・リーグでは阪神タイガースが九年ぶり七度目、パ・リーグではオリックス・バファローズが三年連続十五度目の優勝を果たした。
　東京五輪の年(1964)以来、五十九年ぶり二度目の関西球団同士の日本シリーズとあって、関西では大盛り上がりである。
　今年の日本はワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で優勝しているため(「鼓舞味」参照)、同シリーズで勝ったチームは世界最強ということになろう。

　山本由伸(やまもとよしのぶ)投手はオリックスの絶対的エースである。
　一昨年から三年連続で投手タイトル主要四冠を達成し、伝説の四百勝投手・金田正一(かねだまさいち)以来二人目の三年連続沢村賞を受賞、チームのリーグ三連覇に貢献した球界史上最高の名投手である。
　その山本が、なぜか日本シリーズでは一度も勝てていなかった。
　今年の同シリーズでも初戦に登板したが、阪神打線に五回三分の二自己最悪七失点と打ち込まれて敗戦投手になってしまった。
　彼にとって同シリーズは鬼門ということになろう。

　はい、ということで今月は猛牛と猛虎の対決を記念して「牛虎味」にしてみました。
　丑寅(うしとら。艮。北東)、いわゆる鬼門にまつわるお話です。
　それでは、どぞっ！

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　山本は第六戦でも先発登板し、前回やられた阪神打線を十四奪三振(日本シリーズ失試合最多記録)と封じ込め、一失点のみで完投勝利して雪辱を果たした。
　何か「鬼門封じ」でもやったのであろうか？
　この試合でオリックスは三勝三敗と逆王手したわけだが、第七戦では阪神が七対一と大勝、三十八年ぶり二度目の日本一を成し遂げた。

[2023年10月末日執筆]
[2023年11月加筆]
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「丑寅注意」登場人物

【弓削是雄】ゆげのこれお。陰陽師。後の陰陽頭。

【伴　世継】とものよつぎ。穀倉院役人。若く見える嫁の夫。

【藤原有蔭】ふじわらのありかげ。近江介。
【若い法師】真昼間っから生臭坊主の部下。

【伴世継の下人】

【若く見える嫁】伴世継の妻。真昼間っから生臭坊主のオンナ。

【真昼間っから生臭坊主】若く見える嫁の間男。