3.プレイガール | ||||||||||||||
ホーム>バックナンバー2023>令和五年2月号(通算256号)残酷味 八十神の逆恨み3.プレイガール
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「うーん」
オオクニヌシはまだ死んでいなかった。
全身打撲と全身火傷を負ったものの、虫の息があった。
「キャー! 何てこと〜!」
サシクニワカヒメが息子を見つけて助け起こし、
「しっかりして!」
揺さぶったが、応答がなかった。
「どうしたらいいの?」
サシクニワカヒメは混乱した。
カミムスビに助けを求めた。
当サイトではカミムスビはイザナミと同一人物としている。
カミムスビはすぐに駆けつけてくれた。
「これはひどいわね。でも、まだ息があるわ」
「この子を助けてください!」
「気持ちはわかりますが、私達ではどうにもなりません」
「何とかして助けてください!」
「私達オバサンではどうしようもありません」
「え?」
「ここは若い娘たちに任せましょう」
「はい?」
「オトコというものは、若くて美しいオンナが大好きなのです」
「??」
カミムスビは若い娘を連れてきた。
とびっきり美しい裸婦を二人も連れてきた。
二人の名は、キサガイヒメとウムガイヒメ(ウムギヒメ)といった。
二人は両側からオオクニヌシに抱きついた。
カミムスビが話しかけた。
「オオクニヌシよ。かわいいオナゴがきましたよ」
「……」
「あなたの大好物な超絶濃艷美女が二人も来ましたよっ」
「……!」
オオクニヌシは気づいた。パッチリ目を開けた。首を左右に振りまくって探した。
「え? 超絶濃艶美女だって! どこっ? どこっ? どこにいるのっ!?」
「あなたのすぐ両脇にいますよ」
「本当だ。温かい〜。美し〜い」
「だから、寝てばかりいないで起きなさい」
「起きられないよ。体中が熱くて痛くて死にそうだよ〜」
「ひどい火傷なんで無理ありません。ヒメたち、手当をしてあげなさい」
「はーい」
「はーい」
キサガイヒメとウムガイヒメはオオクニヌシを励ました。
「今から薬を塗ってあげますからね〜」
「すぐに良くなりますからね〜」
「薬なんてどこに持ってるの?」
「ここよ」
むぎゅ〜。ぴゅぴゅぴゅー!
「あたしも」
もぎゅ〜。ぴっぴっぴー!
「うわっ!」
キサガイヒメとウムガイヒメは母乳を絞り出してオオクニヌシにぶっかけると、
ぺたぺた!ぺたぺた!
ぬりぬり!ぬりぬり!
二人して火傷の患部にそれを塗りたくっておまじないした。
「元気になーれ!」
「元気になーれ!」
ぬりぬり!ぬりぬり!ぬりこめぬりこめ!
オオクニヌシはとろんとしてきた。
「ホントだ。なんか気持ちよくなってきた〜。元気が出てきた〜」
「もっともっと元気になーれ!」
「もっともっと元気になーれ!」
ぬりこめ! ぬりこめ! ちちんぷいぷい!
むく、むくむくっ、どっかーん!!
「元気になったー!!」
そんな生活を一か月ほどしているうちに、オオクニヌシの打撲と火傷は完治したのであった。