3.瓢箪からホントに駒は出るか?

ホーム>バックナンバー2007>3.瓢箪(ひょうたん)からホントに駒は出るか?     

芸人恐るべし〜曽呂利新左衛門は実在したか?
1.新左衛門はいつ登場したか?
2.豊臣秀吉はサルそっくりか?
3.瓢箪からホントに駒は出るか?
4.黒駒騒動をどう収めたか?
5.新左衛門はなぜ狂歌がうまいか?
6.世界で一番大きな歌とは?
7.新左衛門はいつ没したか?

 あるとき、曽呂利新左衛門が大きな瓢箪(ひょうたん)豊臣秀吉に見せた。
「いいでしょ、これ」
「ほう。見事な瓢箪じゃな。瓢箪にうるさいわしがほめるのだから間違いはない」
 御存知と思うが、瓢箪は秀吉の馬印である。
「殿下は『瓢箪から駒が出る』ということわざを御存知ですか?」
「ウソをついたつもりが真実になってしまうことであろう。そのくらいのことは知っておるぞ」
「恐れ入りました。では『瓢箪から駒が出るところ』を実際に御覧になったことはございますか?」
「たわけ! ホントに出てたまるか!『瓢箪から駒』とは、ありえないことをいっているのじゃ! ――確かにその瓢箪は普通のと比べたら大きい。じゃが、その中に入るような馬などあるものか!」
「ところがあるんですよ。なんなら今から出して見せましょうか?」
 秀吉は激怒した。
「出せるもんなら出してみよ! 出せなかったらただじゃすまんぞ!」
「はいはい、じゃあ出しまーす」
 新左衛門は瓢箪を傾けた。
 こんころりーん。
 中から何かが転がり出てきた。
「はい! 出ましたけど!」
「なんじゃこれは?」
 秀吉はそれを拾い上げた。
 それは駒であった。
 馬の駒ではなく、将棋の駒であった。
 新左衛門は言った。
「はい。出ました! 駒が出ました! 瓢箪から駒が確かに出ましたー!」
「プッ!」
 秀吉は吹き出した。
 たまらず笑ってしまった。
「ほひっひっひ! くだらん! 実にくだらーん!!」

歴史チップス ホームページ

inserted by FC2 system