159.正月味 基礎用語集 | ||||||||||||||
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●絵巻物(えまきもの)
絵に詞書(ことばがき。説明)を添え、人物の伝記・寺社の縁起・その他昔話などを描写した巻物。奈良時代に始まり、平安・鎌倉時代に発展、室町時代に衰えた。以下が主なもの。
制作年代 | 絵巻物名 | 作家 | 描写内容 |
平安末期 | 源氏物語絵巻 | 藤原隆能?(絵) 藤原伊房?(詞) |
源氏物語の世界 |
平安末期 | 伴大納言絵巻 | 常盤光長(絵) 飛鳥井雅経?(詞) 藤原教長(詞) |
応天門の変 |
平安末期 | 信貴山縁起絵巻 | ? | 命蓮の説話。 朝護孫子寺の由来 |
平安末期 | 粉河寺縁起絵巻 | 寂蓮?(詞) | 粉河寺の霊験談 |
平安末期 | 年中行事絵巻 | 常盤光長?(絵) 住吉如慶(模写) |
宮廷年中行事 |
平安末期 | 鳥獣戯画 (鳥獣人物戯画) |
鳥羽僧正覚猷?(絵) | 貴族社会の風刺 |
鎌倉初期 | 北野天神縁起絵巻 | 藤原信実?(絵) | 菅原道真の生涯と 北野天満宮の由来 |
鎌倉初期 | 地獄草紙 | 後白河法皇?(企画) | 地獄の様子 |
鎌倉初期 | 病草紙 | 後白河法皇?(企画) | 病気の状態 |
鎌倉初期 | 餓鬼草紙 | 後白河法皇?(企画) | 苦しむ餓鬼 |
鎌倉中期 | 平治物語絵巻 | ? | 平治の乱 |
鎌倉後期 | 法然上人行状絵図 (法然上人絵伝) |
土佐吉光ら(絵) | 法然の生涯 |
鎌倉後期 | 一遍聖絵 (一遍上人絵伝) |
円伊(絵) 聖戒(詞) 世尊寺経尹(外題) |
一遍の生涯 |
鎌倉後期 | 鑑真和上東征絵伝 | 蓮行(絵) 美作前司宣方(詞) |
鑑真の伝記 |
鎌倉後期 | 春日権現霊験記 (春日権現験記) |
西園寺公衡(企画) 高階隆兼(絵) 鷹司基忠ら(詞) |
春日大社の霊験談 |
鎌倉後期 | 石山寺縁起絵巻 | 高階隆兼(絵) 杲守?(詞) 土佐光信ら(絵補写) 三条西正隆ら(詞補写) |
石山寺の由来 |
鎌倉後期 | 山王霊験縁起絵巻 | ? | 日吉大社の霊験談 |
鎌倉後期 | 蒙古襲来絵詞 | 竹崎季長(企画) | 文永・弘安の役 |
鎌倉後期 | 男衾三郎絵巻 | ? | 地方武士の物語 |
鎌倉後期 | 天狗草紙 | ? | 僧兵の風刺 |
南北朝時代 | 後三年合戦絵巻 | 玄恵(企画) 惟久(絵) 尊円入道親王ら(詞) |
後三年の役 |
●外祖父(がいそふ)
母方の祖父のこと。
●蔵人頭(くろうどのとう)
蔵人所(くろうどところ)長官。定員二人。天皇に近侍し、極秘文書や訴訟をつかさどった。810嵯峨(さが)天皇が薬子(くすこ)の変に備え、藤原冬嗣(ふじわらのふゆつぐ)と巨勢野足(こせののたり)を任命したのに始まり、以後、公卿昇進への登竜門となった。
●皇太子(こうたいし)=東宮(とうぐう)=春宮(とうぐう)←太子
皇位を継ぐ予定の唯一の皇子(または王子・皇女・王女)。次期天皇。七世紀頃に成立?
●四鏡(しきょう)
鏡の名を持つ歴史物語の総称。以下四つ。
書名 | 成立年代 | 巻数 | 著 者 | 収録範囲 |
大 鏡 | 平安後期 | ? | ? | 平安中期(文徳〜後一条) |
今 鏡 | 平安末期 | 10 | ? | 平安後期(後一条〜高倉) |
水 鏡 | 鎌倉初期 | 3 | 中山忠親? | 大和〜平安前期(神武〜仁明) |
増 鏡 | 南北朝時代 | 17 | 二条良基? | 鎌倉時代(後鳥羽〜後醍醐) |
●清少納言(せいしょうなごん)
(?-?)
歌人・作家。女房。中古三十六歌仙の一人。父は清原元輔(きよはらのもとすけ)。橘則光(たちばなののりみつ)・藤原棟世(むねよ)夫人。一条天皇中宮藤原定子(ていし)に仕えた。著『枕草子』。
●太政大臣(だいじょうだいじん・だじょうだいじん)
律令制における太政官の最高官。常置ではなく、適任者がいなければ欠員。671大友(おおとも)皇子が任じられたのが最初。臣下初の太政大臣は857藤原良房(ふじわらのよしふさ)であるが、奈良時代に藤原仲麻呂(ふじわらのなかまろ)が任ぜられた太師(たいし。大師)や、道鏡(どうきょう)が任じられた太政大臣禅師もこれに相当する役職。
●天皇(てんのう)
古代〜現代に至る日本の国王。もとはヤマト政権の大王。七世紀から天皇に移行。初代天皇(大王)は神武(じんむ)天皇?今上天皇は伝百二十五代。大日本帝国憲法では大日本帝国の元首、日本国憲法では国民統合の象徴。
●日本(にほん・にっぽん・やまと)≧日本国(にっぽんこく・にほんこく)
東アジアにある国。古くは倭(やまと)と呼ばれたが、天武天皇の頃(七世紀後半)に改め、八世紀からは国際的にも使用するようになった。1889大日本帝国憲法制定により「大日本帝国」になるが、1946日本国憲法公布により「日本国」となった。現在の首都は東京。
●藤原道長(ふじわらのみちなが)
(966-1027)公卿。摂政・太政大臣。藤原兼家(かねいえ)の子。995兄の道隆(みちたか)・道兼(みちかね)の死によって内覧となり、996長徳の変で政敵の藤原伊周(これちか)・隆家(たかいえ)兄弟を追放、左大臣に昇り、四人の娘(彰子・妍子・威子・嬉子)を四人の天皇(一条・三条・後一条・後朱雀)に嫁がせ、天皇の外戚として権力を掌握、1016摂政に、1017太政大臣に就任して摂関政治の最盛期を現出、1020法成寺(ほうじょうじ)を建て、日記『御堂関白記(みどうかんぱくき)』を残した。
●藤原行成(ふじわらのゆきなり・こうぜい)
(972-1027)公卿・書家。三蹟(さんせき)の一。義孝の子。伊尹(これただ)の孫。一条天皇や藤原道長から信頼されて権大納言に昇進、和洋書道を大成して世尊時流の祖となり、真跡「白氏詩巻(はくししかん)」「蓬莱切(ほうらいぎれ)」、日記『権記(ごんき)』などを残した。
●平安時代(へいあんじだい)
(794-1185頃) 平安京に都が置かれ、天皇や貴族が支配していた時代。794桓武(かんむ)天皇の平安遷都に始まり、初期は天皇家が、前中期は藤原氏が、後期は院政の主が、末期は平家が政権を担った。1185源頼朝(みなもとのよりとも)の守護・地頭設置(事実上の鎌倉幕府の創立)頃までをいう。
● 紫式部(むらさきしきぶ)
(?-?) 作家・歌人。三十六歌仙の一人。藤原為時(ふじわらのためとき)の娘。藤原宣孝(のぶたか)と結婚して大弐三位(だいにさんみ)を産み、一条(いちじょう)天皇の中宮(ちゅうぐう。皇后)・彰子(しょうし)に近侍、『源氏物語(げんじものがたり)』『紫式部日記』『紫式部集』を著した。
●歴史物語(れきしものがたり)
平安時代末期以降に書かれ始めた歴史に取材した物語。藤原道長を描いた『栄花物語』に始まり、『大鏡』『今鏡』『水鏡』『増鏡』『月のゆくへ』『池の藻屑』などが有名。