20.尾行味 基礎用語集

在原業平(ありわらのなりひら)
 (825-880) 歌人・官人。六歌仙(ろっかせん)・三十六歌仙の一人。右近衛権中将。阿保(あぼ)親王の王子。平城(へいぜい)天皇の孫。母は桓武天皇皇女の伊都内親王(いとないしんのう)。826在原姓を賜るが学才がなく、出世しなかったが和歌は得意とした。『古今和歌集』に三十首収録。歌物語『伊勢物語』の主人公として知られる。 
安保味

小野小町(おののこまち)
 (?-?) 歌人。六歌仙・三十六歌仙の一人。出羽国郡司・小野良真(おののよしざね)の娘?小野篁(たかむら)の孫? 絶世の美女と伝わり、文屋康秀(ふんやのやすひで)・遍照(へんじょう。遍昭)らと交流、『古今和歌集』に十八首歌を残し、歌集『小町集』を編んだ。
尾行味

桓武天皇(かんむてんのう)・山部(やまべ)親王・山部王
 (737-806) 伝五十代天皇(在位781-806)。光仁(こうにん)天皇の皇子。781父の譲位によって即位し、784長岡京(ながおかきょう)へ遷都するが、785造長岡宮使(ぞうながおかぐうし)・藤原種継(ふじわらのたねつぐ)の暗殺で挫折(ざせつ)、792健児(こんでい)の制を制定し、794和気清麻呂(わけのきよまろ)の勧めで平安京へ遷都、勘解由使(かげゆし)を置き、坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)を征夷大将軍として蝦夷を征伐、藤原継縄(つぐただ)・菅野真道(すがののまみち)らに正史『続日本紀(しょくにほんぎ)』を編集させた。怨念味
怨霊味 ヤミ味

公卿(くぎょう)
 公(太政大臣・左右大臣)と卿(大中納言・参議・その他三位以上の者)のこと。現在でいう閣僚に相当。

蔵人頭(くろうどのとう)
 蔵人所(くろうどところ)長官。定員二人。天皇に近侍し、極秘文書や訴訟をつかさどった。810嵯峨(さが)天皇が薬子(くすこ)の変に備え、藤原冬嗣(ふじわらのふゆつぐ)と巨勢野足(こせののたり)を任命したのに始まり、以後、公卿昇進への登竜門となった。詐欺味1

蔵人所(くろうどどころ)
 令外官(りょうげのかん)の一。天皇に近侍し、極秘文書や訴訟をつかさどった役所。810嵯峨(さが)天皇が設置。長官は蔵人頭(くろうどのとう)。後にその上に別当(べっとう)が置かれた。事務所は内裏(だいり)校書殿(きょうしょ)にあった。詐欺味1

古今和歌集(こきんわかしゅう)
 平安時代の歌集。勅撰和歌集。八代集の最初。二十巻。905醍醐(だいご)天皇の命で紀貫之(きのつらゆき)・凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)らが編集。約千百首を収録。

国司(こくし)
 諸国(今でいう県単位)の政務をつかさどった地方官。長官(守・かみ)・次官(介・すけ)・判官(掾・じょう)・主典(目・さかん)という四等官(しとうかん。幹部のこと)が朝廷から派遣され、国衙(こくが。国庁とも。役所のこと)に勤務し、郡司(ぐんじ)・里長(りちょう・さとおさ)らを支配した。

嵯峨天皇(さがてんのう)
 (786-842) 伝五十二代天皇(在位809-823)。三筆(さんぴつ)の一人。桓武(かんむ)天皇の皇子。平城(へいぜい)天皇の弟。兄の譲位で即位し、検非違使(けびいし)や810蔵人所(くろうどのところ)を設置、反対派の藤原仲成(なかなり)・薬子(くすこ)兄妹らを退け(薬子の変)、820『弘仁格式(こうにんきゃくしき)』を完成、漢詩集814『凌雲集(りょううんしゅう)』・818『文華秀麗集(ぶんかしゅうれいしゅう)』・814系譜集『新撰姓氏録(しんせんしょうじろく)』を編集させた。842その死後、承和(じょうわ)の変が起こった。

大納言(だいなごん)
 太政官(だいじょうかん・だじょうかん)で左右大臣に次ぐ官職。大臣とともに政務を執った。定員は四人。天武(てんむ)天皇が設置した御史大夫(ぎょしたいふ)が起源で、705その下に中納言が置かれた。758〜764御史大夫(ぎょしたいふ)と改称。最初の大納言は蘇我果安(そがのはたやす)ら。

内裏(だいり)
 天皇の居所。皇居。御所。大内裏(だいだいり。皇居+主要官庁)の中にあり、紫晨殿(ししんでん・ししいでん。書斎ほか)・清涼殿(せいりょうでん。居間ほか)・仁寿殿(じじゅうでん・じじゅでん。客間ほか)などがある。

中国(ちゅうごく)・中華人民共和国(ちゅうかじんみんきょうわこく)←中華民国(ちゅうかみんこく)
 (1912-) 東アジアにある国。1912孫文(そんぶん)が臨時大統領になって中華民国が成立、袁世凱(えんせいがい)が専制支配を確立し、1928蒋介石(しょうかいせき)が国内を統一するが、1937-1945日中戦争で衰退、1949中華人民共和国が成立した。首都は北京。

朝鮮民主主義人民共和国(ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこく)・北朝鮮(きたちょうせん)
 (1948-) 東アジアの朝鮮半島北部にある社会主義国。1945日本降伏後ソ連が占領、金日成(キムイルソン・きんにっせい)らが臨時人民委員会を組織し、1948韓国に対抗して独立した。首都は平壌(ピョンヤン・へいじょう)。

勅撰漢詩文集(ちょくせんかんしぶんしゅう)
 天皇の命令で編集された漢詩文集。平安前期、嵯峨(さが)天皇と淳和(じゅんな)天皇の時代に以下三集が編集された。

文集名-巻数 成立年 勅撰者 編集者 主な作者 収録数
凌雲集-1
(りょううんしゅう)
814 嵯峨天皇 小野岑守・菅原清公
・勇山文継ら
平城天皇
・嵯峨天皇ら
90首
文華秀麗集-3
(ぶんかしゅうれいしゅう)
818 嵯峨天皇 藤原冬嗣・菅原清公
・仲雄王・滋野貞主ら
嵯峨天皇
・淳和天皇ら
143首
経国集-20
(けいこくしゅう)
827 淳和天皇 良岑安世・南淵弘貞
・菅原清公ら
嵯峨天皇
・石上宅嗣ら
917首

天皇(てんのう)
 古代〜現代に至る日本の国王。推古天皇のときに成立? 初代天皇は神武(じんむ)天皇? 今上天皇は伝百二十五代。大日本帝国憲法では大日本帝国の元首、日本国憲法では象徴。
女帝味

日本(にほん・にっぽん・やまと)
 東アジアにある国。古くは倭(やまと)と呼ばれたが、天武天皇の頃(七世紀後半)に改め、八世紀からは国際的にも使用するようになった。1889大日本帝国憲法制定により「大日本帝国」になるが、1946日本国憲法公布により「日本国」となった。

比叡山(ひえいざん)
 京都府京都市と滋賀県大津市の境を成す山。標高八四八メートル。山頂に延暦寺(えんりゃくじ)が、山麓に園城寺(おんじょうじ)がある。

藤原冬嗣(ふじわらのふゆつぐ)
 (775-826) 公卿。左大臣。内麻呂(うちまろ)の子。母は百済永継(くだらのながつぐ・えいけい)。桓武天皇の皇子・良岑安世(よしみねのやすよ)は同母兄。嵯峨(さが)天皇に信頼され、810巨勢野足(こせののたり)とともに初代蔵人頭(くろうどのとう)に就任、娘・順子(じゅんし)を正良親王(まさよししんのう。後の仁明天皇)に嫁がせ、821大学別曹(だいがくべっそう)・勧学院(かんがくいん)を設立して子弟を教育、820法令集『弘仁格式(こうにんきゃくしき)』・勅撰儀式書『内裏式(だいりしき)』を編纂し、北家興隆の基礎を築いた。 

平安京(へいあんきょう)
 (794-1868or1869) 平安〜江戸時代の日本の首都。平安時代の政治の中心地。京域は京都盆地北部(京都市)。東西約四・五キロ、南北約五・二キロ794桓武(かんむ)天皇が和気清麻呂(わけのきよまろ)の勧めで遷都。1868-1869明治天皇が遷都するが、正式な声明はなかった。

六国史(りっこくし)
 奈良〜平安時代にかけて編集された正史のこと。以下六つ。

書名 成立年 巻数 編集者 編集範囲
日本書紀 720 30+1 舎人親王・紀清人ら 神代〜持統
続日本紀 797 40 菅野真道・藤原継縄ら 文武〜桓武
日本後紀 840 40 藤原緒嗣・源 常ら 桓武〜淳和
続日本後紀 869 20 藤原良房・春澄善縄ら 仁 明
日本文徳天皇実録 879 10 藤原基経・大江音人ら 文 徳
日本三代実録 901 50 菅原道真・藤原時平ら 清和〜光孝

※日本書紀の+1は系譜一巻(現存せず)

六歌仙(ろっかせん)
 平安時代前期の和歌名人六傑。在原業平(ありわらのなりひら)・遍照(へんじょう。遍昭)・小野小町(おののこまち)・喜撰(きせん)・文屋康秀(ふんやのやすひで)・大友黒主(おおとものくろぬし)のこと。

歴史チップスホームページ

inserted by FC2 system