3.おかずタダ | ||||||||||||||
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吉四六はごはんを炊いた。
でも、おかずがなかった。
「おかずがないごはんは寂しいものだ」
そこへノラネコが遊びに来た。
「にゃー」
たまにエサをやるので、なついているのである。
吉四六はいいことを思いついた。
「そういえばこの村にはネコ好きの金持ちもいたっけ」
吉四六はノラネコを抱いて出かけた。
ネコ好きの金持ちの邸宅の前に着くと、ノラネコを下ろしてしかりつけた。
「この泥棒ネコがっ!」
「みゃーん」
ネコの鳴き声に反応して、すぐさまネコ好きの金持ちが邸宅から飛び出してきた。
吉四六はますます大声でネコをしかりつけた。
「おらの大事な焼き魚を食いやがって! 許さねえ! お仕置きしてやる!」
「みょおお!」
吉四六が手を振り上げてノラネコをたたこうとしたため、
「やめなさい! 魚なら私が買ってやるから〜」
ネコ好きのお金持ちが慌てて止めにきた。
「いったいどんな魚を食べられたんだ? 魚の種類を教えてくれ」
吉四六はアジぐらいのつもりで来たのであるが、何でも買ってくれそうな雰囲気だったため、レベルアップしてみた。
「タイ! タイの尾頭付き!」
「わかったわかった。今すぐ買いに行かせるから、もうネコはいじめるんじゃないぞ」
「はい、もういじめませ〜ん」
こうして吉四六の家にタイの尾頭付きが届けられた。
彼はノラネコを呼ぶと、
「よくやった! 分け前だ」
「みゃーん!」
と、骨が多い部分を分けてあげた。
「また頼むぞ」
「うみゃーい、うまゃーい」
吉四六は食べ終わると、満足して寝転がった。
「こいつはいっぱい食えたぜ!」