6.募金詐欺? | ||||||||||||||
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村に八幡さまの社があった。
その鳥居が長年の風雨にさらされて、朽ちて倒れそうになっていた。
そこで吉四六が率先して動いた。
「木の鳥居だから腐るんだ。金属製の鳥居に建て替えればいい。みんなで募金して建て替えよう!」
と、村人たちに呼びかけたのである。
村人たちは賛同した。
「吉四六さんもたまにはいいこと言うじゃないか」
「そういうことなら募金するぞ!」
「わしも!」
「うちも!」
「ボクも!」
こうしてたくさんの募金が吉四六のところに届いた。
吉四六がホクホクして言った。
「では、鳥居ができたらみなさんに知らせますので」
しばらくして吉四六から、
「鳥居ができました! 見に来てください!」
と、村人たちに知らせがあった。
「できたか!」
「金属製の鳥居ってどんな鳥居かしら?」
「楽しみ〜」
村人たちは八幡さまの社にやって来た。
境内をくまなく探したが、どこにも金属製の鳥居なんてなかった。
「おかしいな」
「どういうことだ?」
「まさか、ネコババ!?」
「大いにあり得るぜ!」
怒った村人たちが吉四六の家に押しかけた。
「やい、吉四六!」
「金属製の鳥居なんてどこにもねえぞ!」
「鳥居を建ててないんなら、カネを返しやがれ!」
吉四六は動じなかった。
「金属製の鳥居はちゃんと建てました。木の鳥居の隣に建てました。案内しますから、ついてきてください」
村人たちは吉四六についていった。
吉四六は八幡さまの社までくると、木の鳥居の近くの地面を指差した。
「ほら、よく見てください。ここに建っているじゃないですか」
村人たちが言われた場所をのぞき込むと、木綿針を組み合わせて作った極小鳥居が立っていた。
「ホントだ、立ってる!」
「ちっちぇーのが立ってやがる!」
「これでも金属製の鳥居には違いねえ!」
吉四六は勝ち誇った。
「このとおり、ちゃんと鳥居は建てました。だからお金は一切返しません。ざーんねんっ」
村人たちは舌打ちした。歯ぎしりした。地団駄踏んで悔しがった。
「こいつは一杯食わされたぜ!」