2.鮑(あわび) | ||||||||||||||
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鮑(あわび)は原始腹足目ミミガイ科の大形巻貝の総称である。
古くから殻は螺鈿(らでん)やボタンなど工芸に使われ、肉は食用として貴族らが食べていた。
が、何しろ高級食材だったため(「増税味」参照)、
「そうだ!肉を細く切って数を増やそう!」
と、いうことになり、薄切りにして干して肴(さかな)として食べるようになった。
また、肉が長く伸びることに気が付き、
「そうだ!この弾力を生かそう!」
と、いうことになり、正月の祝儀に結んで使うようになった。
これがいわゆる「熨斗(のし)」である。
この「熨斗」が民間に伝わると、話が変わってくる。
民は、官と違ってビンボーだし、堅苦しいことも好まない。
今日の偽装の先駆者のような人が登場したわけである。
「アワビは高過ぎる。熨斗なんてどうせ食べないものなんだから、代用品で十分だ」
こうして紙製の熨斗が登場した。
おかげで現在では、文具店などで安く買い求めることができるようになった。
ある意味、哀れな末路であろう。